都心墜落の可能性があった大韓機 警鐘が鳴らされた「羽田安全神話」

2016年06月01日 07時00分

 羽田空港で5月27日、離陸しようとしたソウル行きの大韓航空機(ボーイング777)のエンジンから出火し、319人の乗客乗員全員が緊急脱出した事故で、羽田の“安全神話”に警鐘が鳴らされている。

 大韓機は離陸滑走中に左エンジンから出火。タービンの部品が破損して飛び散るなどしており、何らかの異常が起きていたとみられる。出火に気付いた管制塔の管制官からの通報でパイロットは急ブレーキをかけ、緊急停止していた。

 羽田空港がある大田区の元区議で長年、空港問題に取り組んでいる防災アナリストの金子富夫氏は「火災規模が小さかったのが幸いでした。また管制室が出火に気付かずに離陸していたら、コントロールを失い、調布飛行場の墜落事故のようになっていてもおかしくなかった。サミットどころではない大惨事になっていたかと思うとゾッとする」と指摘する。

 羽田空港には4つの滑走路があり、大韓機はC滑走路を都心上空へ向けて、離陸しようとしていた。この滑走路を利用した場合、離陸直後に大井埠頭を右に大きく旋回し、東京湾を横断するのが通常ルートだ。都心を避けるのは人口密集地で騒音や墜落、落下物のリスクを避けるためだ。

 ただ、このルートの見直し計画が現在、物議を醸している。国交省は2020年東京五輪へ向け、羽田空港の国際枠の発着を増やすために都心を通過する低空飛行ルートの解禁を協議している。離陸時だけでなく、着陸時にも都心を通過するとあって、計画に反対の声が高まっている。

 金子氏は「羽田空港では長らく航空機の火災事故が起きていない。航空管制、各航空会社、整備、関係者らの努力のたまものだが、人間がやっている以上、ミスは避けられない。羽田はバードストライクが日本で一番多いし、便数が増え、都心を通過するなどリスクが高まる以上、危機管理のあり方の見直しが必要」と訴える。

「羽田は大丈夫」との安全神話を信じるのは禁物のようだ。