熊本地震による影響で運転を停止していた九州新幹線が20日から新水俣―鹿児島中央間の運転を再開。熊本市内を走る路面電車の熊本市電も全線で復旧した。一方で、JRの在来線や私鉄、第3セクター路線などいまだ再開に至っていない路線も多い。

 その中でも、日本中の鉄道ファンから心配されているのが、南阿蘇鉄道高森線で、地震発生直後からツイッター上などでは心配する声が相次いでいる。

 南阿蘇村の立野駅と高森町の高森駅を結ぶ全長17・7キロの同線は、熊本地震で立野―長陽間のトンネル内部にひび割れが生じたほか、橋梁などにもゆがみが発生し運休に。近くを走るJR豊肥線も土砂崩れに巻き込まれ、復旧のめどが立たない状態になっている。

 雄大な車窓が魅力の南阿蘇鉄道が特に注目を集める理由は、日本一長い駅名である「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」を有するため。他にも駅舎に温泉がある「阿蘇下田城ふれあい温泉駅」や、冬季以外の週末に走るトロッコ列車なども鉄道ファンや観光客を喜ばせてきた。

「南阿蘇鉄道は元は国鉄路線だったが、不採算により、第3セクター方式で運営されるようになった。現在も赤字で体力はない。くしくも高森駅からトンネルを隔てた山の向こうの宮崎県側にはかつて第3セクターの高千穂鉄道が走っていたが、2005年の豪雨災害で大打撃を受け、廃止してしまった。2010年の土砂災害と翌年の東日本大震災の影響で廃線になった岩手県のJR岩泉線のような例もある。ローカル線の保守は災害との闘いでもあり、本当に心配」(鉄道ファンの男性)

 それだけに全国のファンからはネット上などで「絶対また旅しにいく」「支援を続ける」「必ずまた走って」などの応援が続出している。「阿蘇下田城ふれあい温泉駅」など、駅舎自体が被害を受けたところもあるが、再開を信じるファンは多い。