熊本の震度7大地震「巨大地震の前兆か」の声

2016年04月15日 17時00分

熊本城の外堀の壁の一部が崩れた

 熊本城の石垣が崩れ、高速道路はデコボコに。熊本県中北部の益城(ましき)町で震度7を観測した14日午後9時26分ごろの地震で、熊本県警は15日、建物の倒壊などによる9人の死亡を確認したことを明らかにした。ほかに心肺停止になった人もいる模様。県内約500か所に一時計約4万4400人が避難した。国内で震度7を観測したのは2011年の東日本大震災以来で、九州では初めて。西日本の広い範囲に揺れが及んだこの地震は、さらなる巨大地震の前兆なのか、熊本・阿蘇山などの火山活動に影響を及ぼすのか。

 余震とみられる地震も続いており、15日午前0時3分ごろに震度6強、14日午後10時7分ごろに震度6弱が観測された。気象庁によると、震度7の地震の震源地は熊本地方で、震源の深さは約11キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・5と推定される。

 熊本県によると15日午前5時現在で、地震による同県のけが人は少なくとも860人で、うち53人が重傷。気象庁によると、余震は100回を超えた。

 各地で道路の陥没や火災、停電、断水も相次ぎ、崩れたがれきなどで一時生き埋めになった人も。熊本城の石垣は崩壊した。

 熊本県のほぼ中央北寄りにある益城町は熊本市の東に隣接するベッドタウンで、近くに布田川・日奈久(ふたがわ・ひなぐ)断層帯が存在する。

 専門家は地震や余震の分布から、「日奈久断層がずれ動いたことによる地震の可能性が高い」と分析する

 政府の地震調査研究推進本部によると、熊本県では1889年に熊本市付近でM6・3の地震が起き、死者20人の大きな被害が出た。江戸時代以降に布田川・日奈久断層帯周辺で起きた複数の地震の記録が残っている。

  今月6日には県北部の菊池市で震度1の地震が発生。今年に入って熊本県内では震度1、2を観測する地震が複数発生。震源は約10キロと浅く、熊本地方や天草灘、阿蘇地方が震源となっている。

 琉球大学名誉教授の木村政昭氏(75)は今回の地震について、昨年11月14日に九州南西沖で起きたM7・0地震との関連を指摘する。

「この時も震源は約10キロと浅かった。この地域は宮崎県、大分県にまたがる日向灘側のプレートから断続的にプレッシャーをかけられている。私は最終的に日向灘を震源とするM8・7の巨大地震が19~20年ごろに起きると想定しており、今回の地震はその前兆かもしれない」

 火山活動にも注意が必要だ。震源のすぐ近くには阿蘇山があり、数千年前の大噴火では九州全土に被害をもたらした。阿蘇山の中岳では活発な火山活動が続き、昨年9月の噴火では噴煙が高さ2000メートルに達した。今年は2月に1600メートル、3月に1000メートルまで噴煙が上がる噴火があった。

  木村氏は「日向灘からの圧力で火山のマグマだまりは上に押し上げられる。九州には阿蘇山のほかにも鹿児島の桜島、雲仙岳、霧島などの活火山がある。地震が火山活動に影響を及ぼす可能性もあるので、しばらく注意が必要だ」と訴える。

 日向灘の東方には巨大規模が予想される南海トラフ地震の震源域が横たわる。日向灘付近では昨年7月、大分県南部を震源とするM5・7、最大震度5強の地震が発生。南海トラフ地震の前兆かと懸念する声もあった。今回地震は日向灘の反対側。発生メカニズムの解明が待たれる。