なぜ今?「吉原ソープ摘発」の狙い

2012年11月02日 16時00分

 ソープランドの聖地、東京・吉原が消滅してしまう!? 2年半で100億円以上も稼いだ同地域最大級のソープランド運営会社が、摘発された。格安を売りにし、不景気の昨今も客足を途絶えさせない勝ち組グループだったが、その格安料金を実現させるための工夫が結果的に公権力の介入を許してしまった。専門家は「この摘発のせいで、吉原からソープが消えてしまうかもしれない」と話している。

 売春防止法違反(売春場所提供業)容疑で警視庁保安課に逮捕されたのは、「サン・ワールドホールディングス」社長(67)と社員の男ら39人。同社は吉原で格安店舗「オレンジグループ」の8店を経営していた。

 摘発が行われたのは27日で、バス4台を使って従業員や泡姫が警察に連れて行かれたという話もある。同グループには全体で約640人の泡姫が在籍しており、雑誌などでも頻繁に取り上げられるグループで、激安ソープランドとして大人気だった。

 風俗情報誌「俺の旅」(ミリオン出版)の生駒明編集長は「総額1万円前半という激安店として有名で客足がすごくよかった」と話している。同グループの価格破壊は他店舗にも波及した。

「某店は早朝なら50分7000円という安さでした。私も行きましたが、泡姫は若くてかわいく、サービスもよかった。何度か利用しましたが外したことがありません。若い男性に人気で、早朝ともなると行列ができるほどでした」(生駒氏)

 低料金は客の減ったデフレ時代の生き残り策だったが、吉原という“ソープムラ”では受け入れざるものだった。風俗業界関係者は「目立ったことで目をつけられていたのは間違いありません。吉原というところは保守的なところです。ヘルスのノウハウを導入するなどサン社のオレンジグループはその秩序を乱していたと思われ、同業他社からチクリが入ったのでしょう。吉原のおきてに反したということです」と指摘する。

 現在は風営法により都内では店舗型風俗店の新規出店は実質的に不可能な状態となっている。各店舗は風営法で禁止地域が定められる前から営業しており、現在も営業する権利を有しているが、2009年ごろ、サン社が8店舗を一括管理する体制を確立。これがサン社が届け出なしで営業しているものとみなされてしまった。

 サン社は、判明しているだけでも10年4月頃から約101億円の売り上げがあったが、バブルは長くは続かなかった。

「それにしても、吉原最大級のグループが、今さら売春防止法違反なんてふに落ちません」と生駒氏。

 この大摘発は吉原のソープ街壊滅の前兆という声もある。都条例で同地区は特例地域として「現行の建物を使用する限り」ソープランドの営業は認められている。とはいえ多くの建物は築50年以上と老朽化が激しい。だからといって、改築すると別の店としての扱いになり、新たに営業届を出す必要がある。だが、ソープランドは事実上、新規登録できないため改築できない。

 元ソープランド店長で現デリヘル経営者は「今回の摘発は厳しすぎる。自然恋愛と称して本番をやるというグレーゾーンを嫌って、ソープの自然消滅を狙ってるという話もある。建物の老朽化と、摘発の厳しさからソープ経営者が続々とデリヘルに鞍替えしてるので、このままなら、あと5~6年で吉原からソープはなくなります」と指摘する。

 ちなみに、オレンジグループはヘルスのノウハウを持ち込み「早い時間帯ほど安い」という料金システムを用いて吉原で価格破壊を起こした。午前7時台は50分1万4000円で、その後は時間帯を区切って1000円ずつ価格が上がっていくシステムだった。

 いつ入っても時間と総額料金が固定の店が多いだけに、早朝ソープファンにとっては、ショッキングな摘発劇だった。