2013年、東京・三鷹の女子高生Aさん(18=当時)を刺殺し、全裸画像をネット上に流出させた殺人や児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われている池永チャールストーマス被告(23)の差し戻し審の論告求刑公判が10日、東京地裁立川支部(菊池則明裁判長)で開かれ、懲役25年が求刑された。

 殺人などで起訴された旧一審(裁判員裁判)で懲役22年(求刑無期懲役)の実刑判決が出たが、東京高裁が「起訴されていないリベンジポルノ行為まで処罰し刑を重くした恐れがある」と裁判の“やり直し”を命じていた。リベンジポルノで追起訴した差し戻し審で、量刑がどの程度“上乗せ”されるかに注目が集まっていた。

 論告に先駆けてAさんの母親が意見陳述を行い「(原審では認めていた)レイプを否認するなどいまだうそが多い被告の謝罪など信用できない。旧一審の懲役22年も、残り60年以上の人生を奪った代償として軽すぎる。裁判員には求刑を超える判決も視野に入れてほしい」と訴えかけた。

 検察は「殺人もリベンジポルノも、被害者への未練と恨みによる身勝手なもので計画性も高い。被告に精神障害はなく、責任能力に問題はない。自首しておらず、被害弁償もしていない。自己中心的で反社会的な性格は更生不可能」とした。

 弁護側は児ポ法違反などでの追起訴を「公訴権の乱用」として棄却を求めているが「自ら裸の画像を送るなど被害者にも軽率な面があった。画像の拡散は第三者の関与もあって被告人だけの責任ではない。初犯では執行猶予が付くこともある」としてリベンジポルノを併合する場合でも懲役14年が相当だと主張した。

 傍聴席からは「二審判決に慎重にならざるを得なかったとしても、検察にはもうちょっと攻めてほしかった」と不満も漏れた。

 裁判員はどのように判断するのか。判決は今月15日に言い渡される。