東日本大震災から5年がたち、防災意識の高まりから関連グッズで充実一途なのが備蓄用非常食品だ。味を競う「災害食グランプリ」まで開催されるほど、グルメのジャンルとなってきた。

 備蓄食といえば乾パンに代表される「味気ない」「硬い」「マズイ」が定番だった。ところが3・11を経験したことから重要性にスポットが当たり、メーカーの技術革新や被災者の口コミなどで備蓄食は様変わりしている。

 昨年8月に「第2回災害食グランプリ」を主催した防災安全協会の北村博事務局長は「備蓄食はもともと軍用食や病院食が防災でも使えるという発想から広がり、改善改良を重ね、非常に食べやすくなっている」と話す。

 大会の「惣菜・レトルト・ドライ類」部門でグランプリに輝いた「備蓄王」(非常食研究所、税別980円)は、カレーライスや豚丼など10種類の丼物をヒモを引くだけで温められ、アツアツの状態で食べることができる。パン・菓子類部門グランプリの「缶deボローニャ」(ボローニャFC本社、税別400円)はしっとりとした食感を維持している。

 防災アナリストの金子富夫氏は「普通にスーパー等で売っている物と遜色ない。ぜひ買って食べてみて、品定めをしてもらいたい。同時に普段から食べて、ストックしていく習慣をつけてもらいたい。3日分備蓄してくださいと言われるが、とても足りない。1~2週間、場合によっては1か月分を確保しておいた方がいい。災害時はストレスが上がるので、おいしいものを食べて、生き延びるべき」と説く。

 最近は備蓄食もアレルギー対策が進み、ノンアレルゲンも多くなっている。前出の北村氏は「東京都では五輪を控え、外国人の方が災害に遭っても提供できる備蓄食に取り組んでいる。牛肉や豚肉など宗教上の理由で食べられない食材を含んでいない備蓄食も出てくるでしょう」と指摘。非常用が日常用を超える日も近い!?