「もうあかん やめます」のキャッチコピーで浪速っ子に親しまれてきた大阪市の名物靴店「靴のオットー」が20日、本当に最後の営業を終えた。

 39年間の営業に別れを惜しむかのように、多くの客が訪れた。有志応援隊の小山秀司さんは「いつもより1時間ほど早く開店した。最後なので全部売りつくして終わりたい」と話した。

 午後3時。ついに閉店を迎えると、店主夫妻をイラストで描いた垂れ幕が下ろされ、店主の竹部浅夫さん(74)が「こんな雨の中、しょうもない男の前に集まってもらってすんません」とあいさつ。「こんな垂れ幕1枚でこんなにしてもろてありがたい話です。ありがとうだけです。閉店が決まるといろんな人が来てくれて、意外と愛されてたんやな」と振り返った。

 閉店を信じるか信じないかのアンケートを行ったところ「100対200くらいのダブルスコアで信じない派が圧倒した」(小山さん)。竹部さんは「これ以上は無理です。でも、明後日くらいにやっていたらどないなるやろな」と冗談も交えたが、「もう、あきまへんな。閻魔様に舌抜かれる。ウソつけません」と本当の閉店を宣言した。

 有志から花束と餞別3万5237円が贈られると、感極まり目頭を押さえた竹部さん。餞別は「ユニセフに寄付します」と温和な人柄の一端を見せた。