【電力小売り自由化】乗り換え前に知っておきたい基礎知識

2016年02月06日 09時00分

 4月から始まる電力小売り自由化に向け、各事業者のPR合戦が過熱している。なぜ電力事業に通信会社やコンビニが参戦してきたのか? そもそも電力供給の仕組みも分からない読者も多いのではないだろうか。マイナンバーよりも複雑な電力小売り自由化の最低限知っておきたい“基本のキ”を追った。

 各家庭に電力が供給されるシステムを知っておかないと今回の自由化も理解が進まない。電力供給とは、大きく分けると発電、送配電、小売りの3部門になる。これまで東京電力や関西電力など大手10社が各地域で3部門をほぼ独占していた。4月からは小売りの部門が開放され、ライセンスを得た事業者が参入できるようになる。

 ただ送配電自体は従来の大手10社が行うことに変わりはない。小売り事業者はほとんどが大手10社から電気を買うが、中には自前で発電しているところもある。それでも作られた電力は基本的に一度、大手10社の各送電網に送られ、家庭に届く。

 自宅の屋根に設置した太陽光パネルと違って、各小売り事業者が販売する電気が直接家庭に届くわけではない。

 ガスや通信、不動産、商社、鉄道など異業種の企業が多数参入し、割引合戦が繰り広げられている。最大の狙いは消費者の囲い込みにあるが、値段はどこまで安くなるのか。

「単身世帯の場合は、ほぼ変わらないどころか高くなる場合もある。また大きな割引をうたっているところは2年契約などで途中解約には違約金が発生します。今後、中東で戦争などが発生し、原油の輸入量が少なくなったりして、発電コストが上がった場合、値段が上昇することも約款に書かれている。安さをうたっていても、どうなるか分からないところもある」(電力アナリスト)

 一方で、従来の大手10社が原発を再稼働させた場合には料金の引き下げを明言し、新規の小売り事業者は太刀打ちできないとの見方もある。自然エネルギーを中心に電力を提供する「みんな電力」の大石英司代表取締役は「確かに大手の寡占になる恐れはありますが、日本は3・11を経験し、電力への関心は高まっており、自然エネルギー由来の電力会社を選ぶエネルギーシフトが起きている」と指摘する。仮に大幅に値段が安くなっても、原発に頼る大手電力は敬遠されがちな流れになると予想される。

 また、経産省資源エネルギー庁や国民生活センターが注意を呼びかけているのは便乗詐欺商法だ。大手10社とは別に新たな事業者と契約する場合、アナログの検針機からデジタルのスマートメーターへの交換が必須となる。

「スマートメーターの管理は送配電業者の管轄で、いずれはすべての家庭のメーターがデジタルに変更となる。賃貸物件でも交換するのは問題ない。費用も無料だが、実体のない会社や大手の代理店をうたって、高値でスマートメーターを売りつけたり、交換費用の請求、2年契約の料金を一括して前倒し請求する詐欺などに要注意です」(前出のアナリスト)

 すぐに乗り換えなくても現在の大手10社との契約は継続され、電気が供給されなくなることはない。各事業者のプランや特性をよく知ったうえで契約するのが得策のようだ。