出版不況よそに完売!“ソ連版スペースシャトル廃虚写真集”の魅力

2016年02月06日 16時00分

ブランは鳥のふんとホコリまみれだった

 旧ソビエト連邦が開発を進めたソ連版スペースシャトル「ブラン」が、格納庫ごと放置されて廃虚化――。昨夏、ブランの廃虚写真がCNNなど海外メディアのウェブサイトで報じられ、世界的な話題になった。

 撮影したのはロシア人廃虚写真家のラルフ・ミレーブズ氏。日本の出版社・三才ブックスがミレーブズ氏に連絡を取り、昨年12月に写真集「バイコヌール宇宙基地の廃墟」を発売したところ、出版不況に加え、宣伝もしていないにもかかわらず初版の3000部がすぐに売り切れ、増刷された。

 編集した関口勇氏によれば「世界唯一のブラン廃虚写真集です。写真集が売れない時代なので部数を絞ったのですが、予想を上回る反響をいただいた」という。

 写真集には、むき出しの鉄骨が美しい格納庫、2機のブラン、コックピットやドッキングシステムなどブランの内部、そしてブランを打ち上げるための「エネルギアM」ロケットの写真も収められている。巨大な施設と、美しくも悲しいその姿は見るものをくぎ付けにする。

 ブランは米国の“スターウォーズ計画”に対抗すべく開発が進められ、1988年に最初で最後の試験飛行が行われた。無人で地球軌道を周回し帰還。飛行は成功したが、91年にソ連が崩壊すると、バイコヌール宇宙基地に放置されたまま忘れられた。バイコヌール宇宙基地は現在のカザフスタンにある。

 ミレーブズ氏が撮影に訪れた時、試験飛行に成功した1号機は、格納庫の屋根が崩壊して下敷きになり、すでに失われていた。撮影したのは2号機と試験機だ。「格納庫内は鳥のふんとホコリで大変な状態だったそうです。2号機は95%完成した状態で捨て置かれていました」

 ソ連崩壊から約25年を経て掘り出された“つわものどもの夢の跡”を記録した写真である。