なぜ?元慰安婦が韓国政府を通り越し公式謝罪と賠償を要求

2016年01月28日 07時00分

 昨年末に日韓両政府が従軍慰安婦問題の解決で合意したことを受け、元慰安婦の韓国人女性2人が来日し26日、国会内で記者会見した。女性たちは「被害者を後回しにした合意だ」と批判し、あらためて公式謝罪と賠償を求めた。なぜ、合意した韓国を通り越して、日本に来て積極的にアピールしているのか。

 2人は李玉善(イ・オクソン)さん(88)、姜日出(カン・イルチュル)さん(87)で、元慰安婦が集まるソウル郊外の施設「ナヌムの家」で暮らしている。李さんは「被害者に相談なく政府間で合意した。政府は被害者の口を封じ、われわれの死を待っているようだ」と憤った。

 姜さんは「日本が韓国を侵略して私は中国の慰安所に連れていかれた。日本政府がきちんと謝罪しなかったこの合意は成立しない」と怒りをぶつけ、「安倍晋三首相が直接、謝罪してほしい」と訴えた。

 2人は会見後、国会内で開かれた集会に参加。李さんは終戦後に日本軍に見捨てられ、中国で約60年間暮らさざるを得なかったと回想し「日本政府は賠償をしないばかりか、強制連行はなかったと事実の歪曲をして(ソウルの日本大使館前の)少女像撤去まで求めている」と声を震わせて非難した。

 日韓両政府は昨年12月28日、「最終的な解決」で合意。日本が軍の関与と政府の責任を認めて韓国の財団に10億円を拠出し、韓国は少女像撤去に関し「適切に解決できるよう努力する」とした。

 2人の来日と積極的なメディアへのアピールについて、元公安調査庁第2部長・菅沼光弘氏の著書「ヤクザと妓生が作った大韓民国」のインタビュー・構成を担当した但馬オサム氏はこう語る。

「もちろん今回の来日は、北朝鮮の息のかかった団体・挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)がバックにいることでしょう。合意反対を訴えるならば、日本と合意に至った韓国政府に対して行うのが筋であるのに、わざわざ日本に来て抗議デモを行うのは、政治的アピール以外の何ものでもありません」

「日本政府がきちんと謝罪しなかったこの合意は成立しない」というコメントは、すなわち日本側の合意声明の「責任を痛感」「お詫びと反省」が道義的責任であって、法的責任ではないということを裏書きするものだろう。

「そもそも、慰安婦の強制連行を裏付ける客観的資料などないのですから、法的責任が生じるはずもありません。実は、安倍首相の支持層の中にも、今回の合意への反対の声は根強いのです。合意反対という意味で、日本の保守勢力と韓国の慰安婦団体、及びその支持勢力が同じ立場に立っていると思えば、面白い光景ではあります」(但馬氏)

 岸田文雄外務大臣(58)は1月18日の参議院予算委員会で、「日本のこころを大切にする党」の中山恭子代表(76)の質問に答え、「合意声明にあった『軍の関与』は慰安婦の強制連行を意味しない。その事実を国際社会に向けて発信していく」と明言した。

 但馬氏は「むしろ、今回の慰安婦の来日と抗議パフォーマンスは、合意の中身を精査し、日本政府の立場と歴史的検証を内外にアピールする好機になるかもしれません」と指摘した。