長距離バスで万一の時に身を守る方法は? 長野・軽井沢町でのスキーバス転落事故では、15人の死亡のほか、1人が重体、16人が重傷、9人が軽傷となっている。死傷者の多くはシートベルト未着用だった。

 ガードレールに衝突し、道路脇の斜面に転落した際の衝撃で席から投げ出され、壁や窓、人同士で頭や体をぶつけた。事故時は時速80キロ程度とみられ、高さ25メートルのビルから落ちたのと同じ衝撃を受けたことになる。「高エネルギー外傷」と呼ばれる即死状態だった人も多い。

 警察庁とJAF(日本自動車連盟)が昨年行った調査では、主に定員10人以下の乗用車でのシートベルト着用率は一般道で運転席(98・4%)、助手席(94・6%)に対し、後部座席(35・1%)は極端に低い。

 高速道では運転席(99・4%)、助手席(98・0%)、後部座席(71・3%)と上昇する。それでも後部座席のシートベルト着用は約7割と、義務化されているものの現状では1点減点だけ(罰金なし)とあって、徹底されていないのが実情だ。

 防災アナリストの金子富夫氏は「深夜バスですからリクライニングを倒し、寝た状態でのシートベルトは寝返りを打ちづらいし、腹部に当たったりで邪魔かもしれないから、どうしても着用率は低くなる。ただ着用していれば、衝撃時に投げ出されることは防げる。いかなる時でも着用は最低限の自衛手段です」と指摘する。

 また運転手が荒い運転や居眠りをしないようチェックしなければならないため、運転手とのコミュニケーションは重要だ。

「積極的な声掛けが大事です。危ないと感じれば、声を掛け、それこそヤジを飛ばしてもいい。気付かせることが大事。声がかけづらい人は乗客同士でコミュニケーションを取って、代わりに伝えてもらえばいい。こちらは命を預けている身なんだから。どんどん言っていくしかない」(金子氏)

 事故を起こさせない環境づくりが大事のようだ。