硬貨を自ら削った上、造幣局の製造過程で欠陥が生じた硬貨「エラーコイン」と偽って販売したとして栃木、千葉両県警は7日、貨幣損傷等取締法違反と詐欺の疑いで、兵庫県たつの市の無職の男(39)を再逮捕した。

 エラーコインは希少価値があり、コレクターの間で取引されている。

 再逮捕容疑は3~4月、自宅で電動工具などを使って表面や刻印を削った10円硬貨1枚と500円硬貨1枚をインターネットオークションに出品。茨城県の男性ら2人に計約2万6000円で販売した疑い。

 栃木県警によると、容疑者の自宅で研磨された硬貨100枚近くを押収した。容疑者は1~7月、エラーコインと称した硬貨約30点をオークションに出品しており、県警はいずれも偽物とみて裏付けを進めている。

 4月ごろ、両県警のサイバーパトロールで発覚。容疑者は10月、偽のエラーコインを売った詐欺容疑で逮捕され、その後起訴された。

 エラーコインとは、製造過程で欠陥が生じながらも市場に流通してしまったもの。5円硬貨や50円硬貨の穴が塞がっている「穴ナシ」や穴の位置がずれている「穴ズレ」、両面が同じ模様になっている「陰打ち」などさまざまな種類がある。

 穴ナシ50円硬貨なら30万円以上で売買されることもあるという。ただ容疑者は自ら硬貨の刻印を削るなどして、エラーコインを偽造していた。ネット上では同一人物がエラーコインを大量出品していると騒がれていた。

 古美術商は「造幣局でチェックしているので、一般にエラーコインが出るのはまれ。さらにすぐ誰かが気付くので、ほとんど流通することはない。ネットオークションなどで刻印なしやゆがみ硬貨が出品されているが、ほとんどがイタズラじゃないか。ネット出品は店舗と違い、責任も保証もないから素人が飛びつくのは危ない」と指摘する。

「刻印がないエラーコインは、重さを量れば、削った分が減っているのでイタズラと分かる。実際に物を見れば、プロならエラーコインかインチキしたかは、すぐ分かるもの」(同)

 くれぐれも偽物をつかまされないように要注意だ。