フランスのオランド大統領は16日、上下両院合同会議で演説し、パリ同時多発テロが「シリアで計画され、ベルギーで組織された」と述べた。ベルギーの捜査当局は、実行犯グループがソニーの「プレイステーション4」を計画実行の通信手段で用いていた可能性を指摘。イスラム国(IS)の連絡・通信事情はどうなっているのか。

 フランスのバルス首相は今回の計画がシリアで練られ、パリで実行されたとしている。実行犯が潜伏していたベルギー・ブリュッセルの家宅捜索では、ゲーム機のプレステ4が押収された。インターネットにつながるプレステ4は、パソコン通信のようにボイスチャットやメッセージのやりとりが可能だ。

 IS事情に詳しいフリージャーナリストの常岡浩介氏は「以前は外部との連絡手段にフェイスブックやWhatAppsなどのメッセンジャーアプリを普通に使用するなど緊張感がなかったが、シリア国内でネット環境を失うとともに居場所を特定され、空爆を受けるようになってからは使わないようになった。外部とつながる回線は確保していると思うが、盗聴対策には念入りになっている」と指摘。衛星電話も場所が分かるために小型無線機でのやりとりが主だという。

 欧州に潜伏するISや予備軍に対しても捜査当局はあらゆる通信を傍受し、事前に逮捕につながったケースもあった。今回の実行犯グループは盗聴防止のために携帯やメールを使った痕跡は見つかってなく、プレステ4でやりとりをしていたとみられる。

「プレステ4はセキュリティーが高いうえにオンラインゲーム上では、戦争ゲームやアクションゲームで、さまざまな作戦指示や『殺せ』などと物騒な声が飛び交っている。当局が目を光らせていたとしてもすべてをカバーしきれるものではないでしょう」(ゲーム関係者)

 犯行ではシリアから難民にまぎれた実行犯も加わっており、ISの尻尾を捕まえるのは至難の業となりそうだ。