矢ガモだけじゃない!渡り鳥に待ち受ける数々の試練

2015年10月31日 16時00分

 兵庫県伊丹市は29日、同市内にある昆陽池公園の池で見つかった矢が刺さったカモを捕獲した。獣医師が矢を抜き診断したところ、神経系に異常はなく、抗生物質を投与して公園内にある野鳥保護ケージで2~3日様子を見たあと、再び池に放すという。

“矢ガモ”が発見されたのは28日午後。とんだ災難に遭ったのはオナガガモとコクガンの2羽で、池のそばに長さ15センチの吹き矢のようなものが落ちており、色などからコクガンに刺さっていたものが外れた可能性があるという。伊丹市によれば、矢が左目の下から反対側に貫通していたオナガガモのみを捕獲・治療し、すでに矢が抜けていたコクガンはこのまま様子を見守る予定だ。

 オナガガモもコクガンも夏はシベリアや北極圏で繁殖し、冬に日本などに飛来して越冬する渡り鳥だが、渡り鳥が今回のような災難に遭うことは少なくない。1993年に東京を流れる石神井川で、今回と同じオナガガモの体にボウガンのようなものが貫通した状態で発見された。当時、ワイドショーなどがこぞって取り上げ、“矢ガモ”は社会問題に発展した。

 もっと恐ろしい事例もあるという。

「コミミズクというフクロウを撮影しようと多くのカメラマンが川沿いの道で撮影してたんですが、その近くではハンターがカモ猟を行っていたんです。そしたらハンターが『そこに突っ立ってんじゃねえ。撃つぞコラ!』と脅してきて…。よほど疎ましかったのか、後日、そのハンターはコミミズクを撃ち殺してしまったんです」(50代の野鳥愛好家)

 コミミズクは国が指定する狩猟鳥29種には含まれてはおらず、猟の対象にすることは明らかな違法行為だ。

 また、日本で繁殖する渡り鳥たちにも、こんな災難が…。

「夏に繁殖のために渡ってくるコアジサシの卵を中国人が持って行っちゃうんです。中国では野鳥の卵を食べる習慣があり、年々コアジサシの飛来数が減っています」(60代の野鳥愛好家)

 命の危険を賭して、はるばる数千キロもの長旅で日本にたどり着いたにもかかわらず、様々な災難に遭う渡り鳥たち。せめて、人間の故意による災難だけでもなくしてあげたいものだ。