中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第5回総会(5中総会)は29日、「一人っ子政策」を大幅に見直し、全ての夫婦が第2子を持つことを認めることを決定し、閉幕した。経済を支える労働人口の減少と高齢化への対応が狙い。習近平指導部が掲げる国内総生産(GDP)の倍増目標達成に向け、2016年からの5年間で「中高速の成長を維持する」とも表明し、個人消費の経済成長への貢献度を大幅に高めるなど構造改革を加速する方針を示した。

 一人っ子政策をめぐっては、共産党・政府は13年、夫婦のどちらかが一人っ子なら第2子が持てるよう規制緩和を決定したが、労働人口の減少が続き、経済への悪影響が懸念されている。

 中国事情に詳しいルポライターの奥窪優木氏はこう語る。

「都市部では住宅事情や経済事情のため、2人目を欲しいという家族はそんなにいないようです。何より1人目の子供が10歳以上だと、『継げる財産が半分になるのが嫌だ』『自分への愛が薄れる』として、2人目に反対するというケースも多々あるようです」

 中国都市部の平均年収は約100万円から300万円と言われており、思ったほど経済的な余裕はないようなのだ。そして2人目に反対する一人っ子。今年、武漢市では2人目を妊娠した44歳の母親に対し、13歳の一人娘が「私への関心が薄れるから、2人目を産むなら自殺する」と脅し、母親が中絶したことが話題になった。

 また奥窪氏は「農村部では、働き手となる男の子が1人でも多く欲しいので、昔から何人も子供をつくってました。罰金を取られないよう、その子供たちを戸籍に載せないので、黒孩子(ヘイハイズ)と呼ばれています。その問題はなくなるでしょう」と指摘する。

 数億人いるとされる黒孩子は戸籍を持っていないので、教育などを施されず、成人するとマフィアになるなど、社会問題化している。ちなみに女児は働き手にならないので、売り飛ばされるそうだ。このような悲しい子供たちがいなくなるのはいいことだろう。