【横浜傾斜マンション】建て替え?買い取り?解決に5年以上

2015年10月22日 06時30分

 横浜市都筑区のマンションが傾いている問題で、原因とみられるくい打ちを施工した旭化成建材と親会社の旭化成が20日、都内で会見し、旭化成の浅野敏雄社長ら幹部が謝罪した。今後、建て替えとなった場合、販売元の三井不動産レジデンシャル側と協議し、費用の全額負担を明言しているが、巻き込まれた住民にはイバラの道が待ち受けている。

 問題発覚後、初の記者会見で旭化成の浅野社長は「居住者の皆様には大変ご迷惑をお掛けし、関係先各位のご信頼を失う結果になった。深く深く反省し、おわび申し上げます」と頭を下げた。

 会見中にはハンカチで涙を拭うしぐさも見せたが「自身が居住する高級マンションのくい打ち施工業者はどこか?」との質問が飛ぶや「どこに住んでいるかも含め、プライバシーに関わることなのでお答えできない」と怒気を含ませる場面も。

 同社の平居正仁副社長は、今回の施工データ転用の原因や旭化成建材が施工した他の3000棟については「調査中」と繰り返しながらも「(東日本大震災の)3・11も含め、建物が傾いたのはこの1件だけ。四十数年のくい事業において、弊社の件が原因で構造物が倒壊したのは1件もない。気休めにしかならなくて申し訳ないが、倒壊する心配はないと経験的に思っている」と強弁に出る始末。

「自分のマンションは大丈夫だろうか」と不安を抱える住民や関係者に対し、両トップは問題の本質を全く理解していないようだ。

 今回の偽装問題で最大の被害者はマンションの住民にほかならない。

「マンションはJR横浜線の鴨居駅から徒歩11分で、交通の便は良くないが、大型商業施設『ららぽーと横浜』が併設され、三井ブランドの付加価値込みで周辺相場より若干高い、3000万円台後半~6000万円前半で販売された」(地元住民)

 販売元の三井不動産レジデンシャルは、住民に購入価格より高い値段での買い戻しや全4棟(計705戸)の建て替えなどの考えを示している。だが、全棟建て替えの場合は、全棟の住人5分の4以上、各棟で3分の2以上の賛成を得ないといけない。取り壊しから完成まで3~4年の工期がかかるとみられ、その間は別の場所での“仮住まい”を余儀なくされる。これもあくまで迅速にコトが進んだ場合だ。

 マンション事情に詳しい「榊マンション市場研究所」主宰の榊淳司氏は「建て替えで住民の賛成を得られたとしても絶対にイヤだと反対し、居座る人も出てくる。また買い戻しの額を巡っての争いも出てくる。明け渡し請求や買い戻し請求だので(取り壊しまで)5年で済むかどうか」と指摘する。

 欠陥マンション問題は他にも起きており、東京・八王子のマンション(計919戸)のケースでは、解決まで20年以上もかかったという。

「長期の交渉で精神的苦痛はあるし、少なくとも2度の引っ越し、建て直して新築になったとしてもいわくつきでなんとなく嫌になる。『ららぽーと横浜』もずっとあると約束されているワケじゃなく、撤退するリスクもある。私なら購入価格の1・1~1・5倍ぐらいで買い取ってくれるなら、早く売って別のマンションを買いますね」(榊氏)

 各家庭でさまざまな事情を抱え、答えを出すのは一筋縄ではいかない。解決にはかなり長い時間がかかりそうだ。