江戸時代の春画と女性ヌード写真などを同じ号の別ページに掲載した週刊誌「週刊ポスト」「週刊現代」「アサヒ芸能」「週刊大衆」4誌の編集長らに対し、警視庁がわいせつ図画頒布に当たる可能性があるとして口頭指導していたことが19日、分かった。

 警視庁によると、春画自体は違法な「わいせつ図画」ではないが、同じ号でヌード写真も掲載しており、わいせつ性が強調されると判断した。

「中高年をターゲットにした企画として反響が大きく、扱うと、読者から良かったという手紙もたくさん来る。趣のある芸術作品として楽しんでもらえているようだ」とはある出版関係者。

 春画を芸術作品とみるか単なるわいせつ図画とするか、それを掲載するか否かは各出版社によって判断が異なるようだが、やはり警察の介入に関しては業界は看過できないという。

「編集長が警察の指導を受けた雑誌は、一般のヌードグラビアも掲載しているため、改めて春画掲載の意図を確認された。同様の確認行為はこれまでもあったが、警察に口を挟まれるようないわれはない」(前出の関係者)

 警察と出版社はこれまでも表現規制を巡り何度も対立してきた。警察は今回も一応クギを刺しておきたかったようだ。

 先月から春画展が都内で開催中。高台にある会場の永青文庫には、息を切らして階段や坂道を上った高齢者が連日詰め掛けている。同展は18歳未満入場禁止の措置が取られている。

 別の出版関係者は「個人的には現代において、あれで性的興奮を感じる人は少ないと思うが、人によっては芸術ではなくただのわいせつととらえるかもしれない」としつつも「今は大学の授業でもコレクターが文化資料として提示しながら講義を行っている時代。そうしたものを掲載するかどうかは国が決めることではない」と警察の姿勢には反発を見せる。

 アウトかセーフか、その判断は簡単にできるものではない。