アートディレクター佐野研二郎氏(43)がデザインした五輪エンブレムが白紙撤回されたことを受けて東京五輪組織委員会は16日、“新エンブレム”の応募要項を発表した。


 公式エンブレムを選考する「エンブレム委員会」は9月29日に発足された組織。トップを務める東京芸大学長の宮田亮平委員長(70)は「(受賞歴のある人など)特定の人に限るのを一切やめ、多くの方に応募してもらいたい」と前回批判された応募条件を大幅に緩和。日本国籍、および国内に住民票がある外国籍の18歳以上で、10人以内のグループでの応募も可とした。


 さらに宮田氏は「候補作が絞られた段階で国民投票もやりたい」とオール・ジャパンを旗印に国民投票に意欲を見せた。“密室談合”との批判を避けたいフシは見え見えだが、国民審査となれば障壁も多い。あらかじめ選考対象の作品を公開せざるを得ない。


 商標権の問題から、ロゴは公表前に公開してはいけない現行のIOC規定との整合性を問われると宮田氏は「まず商標登録してからオープンにするというのが一番いいのかな。(候補作の)数が多くなれば金も時間もかかるし、複数登録できるのかも含めていろんな問題をクリアにしてからですね」と少々、勇み足のようだ。


 単純に比較できないが、総務省が憲法改正などにかかわる国民投票のために2009年度に計上した予算は約50億円。新国立競技場の建設費用問題や、エンブレム選定の“やり直し”で国民から度重なる浪費を非難されている中、国民投票をブチ上げるとは浮世離れしてはいないか…。