今年のノーベル平和賞が9日、発表され、チュニジアの民主化に貢献した団体「国民対話組織」が受賞した。ノミネートされていた「憲法9条を保持する日本国民」は昨年に続き、受賞を逃した。

 憲法9条保持を訴える「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会は昨年、約41万人の署名を集め平和賞にノミネートさせた。安保法案審議の影響もあり、今年は約69万人の署名を集め、再ノミネートを果たしていた。

 今回の発表を受け、実行委員会の共同代表を務める元教員の石垣義昭さん(74)は「大変残念」としながらも、チュニジアの団体の受賞について「ノーベル賞の原点に近づいている。うれしく思う」と笑顔を見せた。

 同じく共同代表で主婦の鷹巣直美さん(38)は「誰が受賞するかどうかではなく、9条を広めることが狙い」と活動の意義を公言しており、超党派の議員61人も賛同者に名を連ねる同会はノーベル賞を利用した政治活動を実行している。村上春樹氏のファン“ハルキスト”ならぬ“キュウジョイスト”の拡大が主目的だ。

 この日も、同会は敗戦の弁は早々に終わらせ、集まった報道陣に持論を展開。石垣氏は「領土問題を争うのではなく、共有しあって解決していくような関係を作り上げていく。そういう政治家を作っていくことが大切」「憲法9条の理念を国連憲章に入れていただくような流れにつながっていってほしい」などと雄弁に構想を披露した。

 昨年の活動がありながら安保法案は可決。同会にとっては完全に尻に火がついたようで、今後も100万人の署名を目標に、毎年平和賞受賞へのノミネートを目指していくという。

 果たして、これらの活動が政権に影響を及ぼす日はやってくるのか。