小渕優子前経産相(41)の関連団体の政治資金収支報告書に虚偽記載をしたとして、政治資金規正法違反(虚偽記載・不記載)の罪に問われた元秘書、折田謙一郎被告(67)ら2人の初公判が14日、東京地裁で開かれた。折田被告は起訴事実を認め、検察側は禁錮2年を求刑した。

 折田被告は資金管理団体に実際にある資金と、収支報告書の記載に差があることに気付き、生じた欠損を埋めるために複数の関連団体を使って、架空の寄付を繰り返してつじつまを合わせていた。もともとの欠損は冠婚葬祭費などを報告書に記載しなかったことによる。つまり、不記載を虚偽記載で穴埋めしていた。

 弁護側の被告人尋問で折田被告は「秘書の使命とは何か」を語った。

「政治家の活動を陰に陽に支える。後援会活動や陳情処理、資金集めは秘書の仕事。代議士は国政に専念してもらい、それ以外は私どもの責任でやる」

 折田被告は小渕氏と父・小渕恵三元首相の父娘2代にわたり秘書として仕え、「(支えてきた)自負がある」と胸を張った。

 これに大笑いしたのが園原敏彦裁判長だった。裁判長が「秘書としての使命に反するんじゃないの」と聞くと、折田被告は「適正に処理することが使命」と返答。裁判長は笑いながら「適正にやってないじゃない。悪いことって分かってやっているんでしょ」。折田被告は「はい、そうです」と認めるしかなかった。

 折田被告は小渕氏を守るために違法行為をしたが、結果として小渕氏は大臣を辞めており、守れたとは言いがたい。

 議員のために泥をかぶる秘書は年々少なくなっているという。国会議員秘書は「最近の秘書は事務所にトラブルが分かると、辞めていく人が多い。『ボスに仕える』という意識の秘書はベテランくらいなもの。時代は変わりました」と話す。

 違法行為は逆効果だろう。