財務省は2017年4月から消費税が10%に引き上げられる際に、マイナンバー制度を利用した税金還付策を示した。飲食料品を購入する際、店頭でマイナンバーカードを提示させようというのだが、実情を分かっていない役人や麻生太郎財務相(74)のお気楽さに批判が浴びせられている。

 財務省では、生活必需品などの税を抑える軽減税率の導入を検討してきた。

 ところが今回明らかになったのは、酒類を除く飲食料品を対象とし、購入時には10%の消費税を支払うが、ICチップを内蔵するマイナンバーカードに情報を記録させることで、年4000円を上限に還付させるとの案だ。

「本来、マイナンバーは住民票取得や税手続きなど役所での使用が主になるはず。買い物でも使用するとなれば、名前や住所が記載された個人情報をコンビニやスーパーの店員が知ることになるし、紛失する危険性も増える。消費行動が監視されるともいえ、懸念されている個人情報保護の観点からも望ましくありません」(永田町関係者)

 さらに批判の的になっているのが「これ以上、カードを増やしてくれるな」という怒りだ。

“ポイント大国”と化した日本では買い物時に大手ポイントカードのほかに、その店独自のポイントやスタンプカードなどで2枚差し出す光景も珍しくない。

 30代男性秘書は「店員からカード提示を求められ、財布から見つからなくてまごつく人も多い。そのうえ支払いはサインなしのクレジットカードならまだしも、電子マネー払いで残高不足なんて時にはキレそうになる。そこにマイナンバーカードまで加わったら、レジはどうなるのか。さらに長蛇の列で、店員も大変ですよ」とあきれる。

 麻生財務相は8日に、「カードを持ちたくなければ持って行かないでいい。その代わり、その分の減税はないだけだ」と発言し、物議を醸している。前出の秘書は「財務省の役人もそうだが、麻生さんも庶民の現実なんて分かっていない。首相時にカップラーメンの値段を尋ねられ、400円とのんきに答えていたが一度、ポイントカードを持って、レジに並んでみればいい」と話す。

 このまま“国営ポイントカード”が導入となれば、大混乱は必至だ。