名物スリ老婆が持つ2つの顔

2012年09月30日 18時00分

 名物スリの素顔は、自宅近所で問題行動乱発の老婆だった。百貨店の地下総菜コーナーでスリを働いてきた77歳の女、通称“デパ地下の房子”が逮捕された。まるで通勤しているがごとくバスで熱心に通い続けた百貨店は、老婆にとって生きがいの場所だった。

“デパ地下の房子”こと塚本房子容疑者(77)が御用となったのは20日の夜。場所は東京・新宿区の百貨店「伊勢丹新宿店」地下1階総菜売り場だった。警視庁捜査3課は、同日午後7時40分ごろ、買い物中の女性(37)の手提げバッグから金を盗もうとしたとして塚本容疑者を窃盗未遂の現行犯で逮捕した。警戒中の捜査員が、女性のバッグに右手を差し入れた現場を押さえた。デパ地下で食料品を買う女性を専門に狙っていたため、捜査員につけられたアダ名が「デパ地下の房子」――それほど有名人だった。

 塚本容疑者は築40年ほどの都営団地の3LDKの部屋に独りで住んでいた。最近では週に1~2回、高齢者向けのケア団体の世話になっていたという。とはいえ行動に支障はなく、近くのバス停から「新宿伊勢丹前行き」のバスに乗って“通勤”していたという。

 近隣住民は「そういうときはオシャレしてるんだけど、普段は下着にスリッパで外まで出てきたり…。白髪のザンバラ頭で。怖いですよ」と明かした。

 入居前は病院の清掃員として働いていると周囲に説明し、数年前は知人に「生活保護もらってるのよ。だからカラオケ行き放題で楽しいのよ」と笑っていたという。オシャレしてデパ地下に通いスリを働くときだけ、自分を輝かせることができたのかもしれない。