日本と韓国にまたがるロッテホールディングス(HD)の経営権をめぐり、創業者の重光武雄氏(韓国名・辛格浩=92)の長男の宏之氏(同・辛東主=61)と次男の昭夫氏(同・辛東彬=60)が一歩も引かぬバトルを繰り広げている。経営手腕も含めてHD幹部から人望が厚いのは昭夫氏で、劣勢の宏之氏は儒教的肉親の情に訴える作戦に出ているのは、本紙既報通りだ。


「韓国呪術と反日」などの著作がある文筆人の但馬オサム氏はこう語る。


「宏之氏は韓国に住む叔父を引っ張り出し『東主は祭祀(チェサ)を欠かしたことがない』と発言させています。祭祀は韓国式の法事のことですが、先祖の祭祀をつかさどることは長男の最大の義務であると同時に、正統的後継者としての証しだからです。現に、この7月31日に行われた辛家の祭祀に昭夫氏は出席を拒まれています。辛家の後継=宏之氏、企業の後継=昭夫氏という図式として、お互い一歩も引かぬ構えのようです」


 一族が絡んでお家騒動は拡大。今後、鍵を握るのは女性たちになりそうだという。


「兄弟には英子(ヨンジャ)女史という異母姉がいます。ロッテ福祉財団理事長という肩書を持つ彼女は、辛一族に一定の発言力を持っているといいます。彼女が弟2人のどちらにつくかが注目されています。また兄弟の母・初子氏もたびたび韓国に渡って、この問題を話し合っているそうです。それから、武雄氏の3番目の夫人で元モデルのソ・ミギョン氏と彼女の娘ユミ氏(ホテルロッテ顧問)の存在も気になるところです」(但馬氏)


 もし、兄弟バトルが収まっても、武雄氏がいなくなれば、新たなバトルもありそうだ。


 但馬氏は「韓国ではお金持ちが第2夫人を持つことは珍しくないのですが、特に在日1世の間では日本では日本人の妻、本国では韓国人の女性を“正妻”に置くことがある種のステータスになっている。夫の死後、日韓の“妻”が相続でモメるという話もよくあることです」と指摘している。