TPP交渉頓挫ならアベノミクスの終焉が始まる

2015年08月04日 10時00分

 思わぬ伏兵の横ヤリでTPP(環太平洋連携協定)に暗雲が垂れ込めてきた。

 ハワイで行われていたTPP交渉の閣僚会議は7月31日(日本時間8月1日)に、楽観されていた大筋合意に至らず閉幕した。知的財産分野の新薬データの保護期間をめぐり、日米と新興国が対立していたところに、ニュージーランドが「乳製品の輸出拡大をできないなら医薬品で妥協はしない」と、土壇場で自国の利害を絡めてきたため、交渉が頓挫した。

 当初から交渉のリミットは7月末といわれてきた。米国が来年に行われる大統領選を控え、オバマ政権内でTPPを成立させる日程がひっ迫しているためだ。

 そこへきて今回の合意見送り。大筋合意は今月末に持ち越されたが、日程的にもこれが最後のチャンスとなる。もし、今月末に大筋合意がなされなければ、安倍政権の掲げる経済政策・アベノミクスに甚大な“被害”が出ることは確実だ。ある経済関係者がこう明かす。

「アベノミクスの成長戦略はTPPの成立が絶対条件になっているものが多い。金融政策と財政政策による景気上昇はすでに限界で、残るは規制緩和の道ですが、どれも業界団体の反発が強いものばかり。米国の経済ルールをのむに等しいTPPを大義に推し進めなければならないが、頓挫すればアベノミクスの終焉が始まりかねない」

 TPPが頓挫した場合の影響はこれだけにとどまらない。安倍政権は年内にEU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定)をまとめるつもりだが「当然EUとのEPA交渉にも支障が出てくる。2つのメガトン級の交渉が決裂すれば、アベノミクスは文字通り終焉してしまう」(前出関係者)というから穏やかではない。

 ハワイでの閣僚会議で大筋合意が難しくなったことを受け、温厚で知られる甘利明TPP担当大臣(65)が声を荒らげる場面もあったというが、それはアベノミクスへの影響を認識してのこと。難航に難航を重ねてきたTPP交渉は、アベノミクスの命運も絡んで勝負の1か月を迎えた。