ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの相次ぐ品質不正を背景に供給不安が課題になっており、7月にも入手困難になるという。

 東京・江戸川区の外科クリニックの院長は「患者さんに出すジェネリック薬がメーカーのトラブルが尾を引いて、1年くらい前から不足してました。医薬品卸問屋に頼んで、なんとか調達してますが、夏にはジェネリック薬は手に入らなくなり、患者に金銭的負担をかけてしまいます」と明かす。

 成分も効果も先発薬と同じで安価なジェネリック医薬品の使用率は80%前後となっている。

 2020年12月に福井県の後発薬品メーカー「小林化工」が製造した水虫などの皮膚病治療薬に睡眠導入剤の成分が混入して、全国各地で健康被害が続出。21年2月、業務停止命令116日間の行政処分を受けた。小林化工は今年3月、製造工場をジェネリック大手の「サワイグループホールディングス」に売り渡し、医薬品の製造・販売から撤退した。

 また、富山県のジェネリック最大手の日医工は、違法製造があったとして21年3月に約1か月間の業務停止命令を受け、製造や出荷の遅れが続いたことなどが響き、業績悪化。今年5月、私的整理を国認定の専門機関「事業再生実務家協会」に申請し、受理された。

 その日医工は30日、富山市内で私的整理申請後、初めての定時株主総会を開いた。日医工によると、田村友一社長を含む取締役選任など3つの会社側議案は全て可決。田村社長は経営悪化に関して陳謝した。

 度重なる不祥事で、ジェネリック医薬品メーカーでつくる日本ジェネリック製薬協会の呼びかけで各メーカーが自主点検したところ、複数のメーカーから問題が見つかり、出荷停止や生産調整で製造が大幅に遅れ、約2500品目の出荷が滞っている。厚生労働省はジェネリック大手の沢井製薬と東和薬品の2社が生産体制を大規模増強する計画を発表したが、工場の増設や国の承認を得る手続きなど、2年ほどかかるという。

 厚労省のジェネリック対策が急務だ。