内部告発サイト「ウィキリークス」は7月31日、米国家安全保障局(NSA)が2006年の第1次安倍政権時から内閣官房や各省庁、日本の大手企業を盗聴していたとする文書の一部を公開した。かねて米国による盗聴は指摘されていたが“ダダ漏れ”の実態が改めて明るみに出た。

 ウィキリークスが暴露したのは「TARGET TOKYO」と題されたファイルで、NSAが内閣官房、財務省、経産省ら中央官庁のほかに日本銀行、三菱商事、三井物産など35か所を盗聴していたというもの。各所の電話番号一覧が表示され「政府VIP回線」との表記もあった。

 同時にNSAが盗聴を元に作成したとする5つの文書も公開。気候変動政策やサクランボ輸入を巡る農水相時の石破茂氏(58)の思惑などがリポートされている。海外メディアの報道では菅義偉官房長官(66)の通話も盗聴されていたという。

 NSAを巡っては2年前にドイツのメルケル首相(61)の携帯電話をはじめ、35か国の首脳の通信が盗聴されているとウィキリークスが明かした。

 永田町関係者は「以前からエシュロン(通信傍受システム)で盗聴されているのは分かっていながらも対策は全くとれていない。今回も表向きは米国に遺憾の意を示すかもしれませんが、強硬姿勢など取れるハズはありません」と話す。

 NSAが盗聴した情報は「ファイブ・アイズ」といわれる英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで共有されている。

「安倍政権が秘密保護法や日本版NSC(国家安全保障会議)、安保関連法制の導入を進めているのはファイブ・アイズのようにNSAから情報提供を受けたい狙いもありますが、日本の管理体制の甘さではとても相手にされないでしょう」(同)。このまま米国の手のひらの上で踊らされるだけなのか。