埼玉・川越のインターネットカフェの立てこもり容疑者は過去の同様の事件で出所したばかりだった。

 事件は21日、午後10時前、川越市のネットカフェで発生。女性従業員(22)が清掃のため、個室ブースに入ったところ、隣室の利用客の男がカッターナイフを突きつけ、立てこもった。埼玉県警の捜査員が説得を続け、22日午前3時20分ごろ、男を現行犯逮捕、軽傷を負った女性従業員を保護し、解決した。

 逮捕監禁容疑で逮捕されたのは住所・職業不詳の長久保浩二容疑者(42)。川越署に連行される際、警察車両の後部座席で報道陣のカメラに向かって笑顔を見せ、両手で〝Wピースポーズ〟する異様さが際立った。

 実は、同容疑者は2012年、愛知県豊川市の信用金庫で女性客など5人に刃物を突きつけ、13時間立てこもり逮捕され、懲役9年の判決を受け、今年4月に出所したばかりだった。

 調べに「自分の人生に嫌気がさした。また事件を起こせば刑務所に戻れると思った」などと供述しているという。

 警察関係者によると「山梨県出身で離婚などが原因で実家からは勘当され、10年前の事件前は愛知県内の土木会社に勤務していた。今回の事件を起こしたネットカフェの会員証を持っていたことから、出所後は住まいを構えず転々と生活していたようだ」という。

 10年前の事件時には政治的な要求もしていた。

「内閣は退陣しろ」と首相に会見などを要求し、裁判では「事件を起こせば意見を発信できると思った。この裁判でも発信力を増幅させられると思った」などと話していた。

「今回も参院選の公示日の前日の事件だったことから、政治的思想が絡んでいるとも思われたが、本人の供述では、出所後の厳しいシャバの生活に耐えられず、刑務所に戻るために起こしたというのが最大の動機とみられる」(同関係者)

 ネットカフェの立てこもりといえば、昨年6月、同じ埼玉県のさいたま市の店舗で男が女性従業員を人質に約32時間にわたり立てこもる事件があったばかり。この事件を受け、日本複合カフェ協会は「従業員が鍵付きの個室に立ち入る必要があるトラブルについては利用客を個室外に誘導する。質問や要望については個室のドアを開放して対応する」などをガイドラインに追加し、従業員の安全確保策を出していた。