【小型機墜落】意見食い違う機長とエアロ社 責任転嫁の行方

2015年07月29日 06時00分

墜落した小型機

 東京都調布市の住宅街に5人乗り小型機が墜落した事故で、泥仕合が繰り広げられている。事故原因に、離陸直後のエンジントラブルが挙げられているが、同機を管理する「日本エアロテック」の小山純二社長は「機体トラブルはない」と主張。都に事前提出した飛行計画書にも虚偽疑惑が浮上し、その過程をめぐり亡くなった機長の川村泰史さん(36)とエアロ社の間で意見が食い違っていた。ついには同社の顧問弁護士からマスコミ批判まで飛び出す始末。醜い責任転嫁の行き着く先は――。

 小型機は26日午前11時ごろに調布市の住宅街に墜落、炎上した。この事故で機長の川村さん、搭乗していた全日空社員早川充さん(36)、現場住宅に住む鈴木希望さん(34)とみられる計3人が死亡。ほか5人が重軽傷を負った。当局は業務上過失致死容疑を視野に現在捜査中だ。

 肝心の事故原因については、複数の近隣住民が普段より低いエンジン音を聞いており、何らかのエンジントラブルが起きていた可能性が高い。

 航空関係者は「離陸して数分で異変が起きた。整備不良、もしくは欠陥を見逃していた可能性はある」と話す。

 これに事故機を整備・管理するエアロ社の小山社長は22日に川村さん自らテスト飛行を行い「問題なし」と確認していたことを挙げ「機体トラブルはない」と述べた。

 東京都に提出した飛行計画書にも虚偽疑惑が浮上している。事故機は調布飛行場から伊豆大島への往復を予定しており、事前に東京都に提出された飛行名目は操縦士の技能維持を目的とした「慣熟飛行」だった。しかし、実態は景観を楽しむなど観光的側面を持つ「遊覧飛行」だった可能性があるという。調布飛行場では住宅街への安全面を考慮し、遊覧飛行は禁止されている。これを指摘されたエアロ社の小山社長は27日の記者会見で「遊覧飛行は調布ではできない。そういう話は一切ない」と強調。

 続けて「あくまで川村機長との契約で機体を貸しただけなので、目的地到着後の予定は把握していない。ただ、現地に着いてお昼になれば食事もするし、いい景色があれば写真を撮ることもあると思う」と“我関せず”の発言を繰り返した。

 遊覧飛行を希望したのは、搭乗者3人のうちのT氏(51)。川村さんは一旦はT氏の申し出を「都合が悪い」と拒否したものの、その後応じている。T氏は川村さんだけでなく、小山社長とも面識があった。

 これを受け、一部メディアは「小山社長がT氏のために川村さんにフライトするようお願いした。川村さんは断ろうにも断ることができず、仕方なく飛行した可能性がある」と報じた。

 これにエアロ社の阿部能章弁護士が激怒。本紙に「Tさんが私どもの会社を訪れることはありましたが、仲が良かったのは川村さんの方です。うちの小山が根回しするなんてとんでもない。小山もこの話を聞いたら『違います!』とハッキリ言うでしょうね」と断言。

 あくまでT氏と川村さんの2人で飛行計画が練られたものであると強調した。同弁護士はマスコミにも苦言を呈す。

「まずは結論ありき。今日の記者会見でも、小山が『このたびはご迷惑をお掛けしました』と頭を下げたら、ある新聞社の記者が『謝罪するということは、事故責任を認めたということか!』と意地悪な言葉を投げ掛けてきた。それは違うでしょ? こんなことが続くのなら、今後は取材に応じないこともある」

 その一方で、川村さんのキャリアについても疑問が生じている。エアロ社によれば、川村さんの総飛行時間は「600~700時間」。しかし本人は国土交通省に「1500時間」と自己申告していた。また川村さんはパイロット養成をうたう会社を経営していたが、養成事業を行うのに必要な国の認可を受けていなかったという。

 次々と噴出する疑惑。そして責任転嫁…。遺族は現状をどんな目で見つめているのか――。