18歳の女子学生への飲酒報道で自民党を離党した吉川赳衆院議員(40)が、国会閉会日の15日も本会議を欠席するなど、雲隠れを続けている。議員辞職どころか釈明会見やコメントも出さない逃げ腰姿勢に有権者の怒りは収まらない。参院選(22日公示、7月10日投開票)でも自民党への影響が出始めている一方で、皮肉にも女性スキャンダルでスネに傷ある2人の男の評価が上がっている。

 吉川氏は、先月27日夜に東京都内で18歳の女子大生と飲酒し、ホテルに滞在し、現金4万円を渡した〝パパ活〟疑惑を10日発売の「週刊ポスト」で報じられた。だが、これに対して一切説明することはなく、同日に自民党を離党。会期末に会見を開くかと思われたが、国会閉会日となった15日も欠席届を提出し、姿を見せなかった。

 地元の静岡では「早く辞めろ!」と大ブーイングを浴び、自民党内でも世耕弘成参院幹事長が「報道が事実でない証明ができないということではないか」と議員辞職を求める声が出ていた。

 吉川氏が岸田文雄首相率いる岸田派の「ホープ」だったことで、野党は対応が手ぬるいと一斉に追及。立憲民主党は15日、吉川氏の議員辞職勧告決議案を提出したが、自民党は「本人の説明がまだ行われていない」として反対し、採決は行われなかった。

 自民党関係者は「岸田政権は高い支持率で参院選は順風だったところに吉川氏の問題が発覚し、対応に苦慮している。本来なら離党届を受理せずに除名処分にすべき。このまま吉川氏が逃げ続けるようなことになれば、さらなる追及に遭い、参院選で逆風になる」と懸念する。

 ただ、こんな吉川氏のみっともない行動や、説明責任を果たさない姿勢のおかげで(?)、評価が上がった人物もいる。自民党の細野豪志衆院議員(50)だ。細野氏と吉川氏は静岡5区で長年対立し、昨年の衆院選では細野氏は無所属で当選し、自民党入りしていた。

 永田町関係者は「細野氏も2006年、当時ニュースキャスターを務めていた山本モナと路上キス写真が週刊誌に掲載され、大問題となった。これにより民主党の政調会長代理の役職を辞任し、『おごりがあった』とおわびした。男女関係は否定した結果、山本モナだけがキャスター降板となった」と振り返る。

 細野氏はすぐに対応したことで、議員辞職を求める声が高まることはなかった。

「細野氏と吉川氏は何かと比較されるが、吉川氏がカネにものを言わせたパパ活疑惑だったのに対し、細野氏は大人同士。もちろんホメられたことではないけどね」(同)

 さらにもう1人、評価が上がったのは、16年にゲス不倫騒動を起こした宮崎謙介氏(41)だ。吉川氏とは「魔の3回生」といわれた同期だが、宮崎氏は謝罪会見を開き、その場で議員辞職を表明した。

「女性問題で役職を辞任した議員はごまんといたが、議員辞職したのは宮崎氏が初。当時はボロクソに叩かれたが、あの時の潔さがあったからこそ、今でも活動できている」(自民党議員秘書)

 宮崎氏の妻である金子恵美元衆院議員は14日、TOKYO MXの情報番組「バラいろダンディ」に出演した際、「吉川さん自身はムードメーカーな人だが、なにバカなことをやっているんだと。時間もたったので、疑惑といわれているのであれば自分の言葉か書面で説明しないといけない」と指摘した。

 さらに夫の宮崎氏を引き合いに出し、「宮崎は育休宣言していたのに真逆のことをして、政治不信につながるからと言って辞職した。わが家が言える立場ではないが、少なくとも説明することを宮崎はしたので、(吉川氏も)しないといけない」と話した。

 岸田派は15日、吉川氏の退会を発表。岸田首相も「一刻も早く国民への説明責任を果たすべきだ。果たせないなら議員としての進退に直結する問題になる」と述べた。吉川氏は、女性スキャンダルを起こした2人を教訓に今からでも対応をしない限り、不信は膨れ上がる一方。参院選に影を落とせば〝大戦犯〟となりかねない。