韓国最高検は15日、2012年に長崎県対馬市の寺社から韓国人窃盗団が盗んだ仏像2体のうち、1体を日本の神社に返還すると発表した。

 返還されるのは海神神社の国指定重要文化財「銅造如来立像」。韓国検察は「韓国で所有権を主張する人はおらず、盗難当時の所有者だった神社が正当な権利者とみるのが相当」と返還理由を説明している。

 とはいえ、残るもう1体の観音寺の県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」は、韓国の浮石寺が所有権を主張。韓国メディアは「650年前に倭寇が朝鮮から日本に略奪した」と世論形成し、韓国司法も「占有名義を変更してはならない」と、日本への引き渡しを認めない仮処分決定をしている。

 観音寺前住職の田中節孝氏(68)は「対馬の人からしたら、1体戻って来るのはうれしさ半分ではある」としながらも、「私としては怒りの方が大きい。早くもう1体も返せ」と憤る。

 韓国政府は仏像返還を決めたことで、日韓関係改善に意欲を示す狙いがあるとみられるが、田中氏は「そもそも政治問題と関連付けることがおかしいし、1体だけ返すのも逆効果。単純な泥棒なんですよ」と語る。

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)条約には「盗難指定を受けている文化財について、条約締結国は返還の義務がある」との条文がある。日本政府はこの条約に基づき、すでに仏像2体を盗難品として各国に通知済み。田中氏は「韓国もユネスコの締結国なのだがら、本来ならばすぐに返さなければならないんです」と力説する。

 ただし、そこは韓国。先日も韮山反射炉(静岡県)のユネスコ世界遺産登録をめぐり、土壇場で歴史問題を盾にゴネまくった“前科”がある。

「あれと一緒で、何でも言い訳をつける国だから…」とは田中氏。

 仏像盗難以降、韓国では昨年のセウォル号沈没事故、経済の低迷、MERSの蔓延など災難続き。田中氏は「仏罰? 立場上、そういうことは言えませんが、まぁ、酒のツマミにはなりますね」と述べた。