「プーチンの忠犬」として知られるチェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長(45)がウクライナに続き、その隣国ポーランドを攻撃する準備はできているとし、欧州各国に「武器を手にしておけ」と警告する動画が25日、公開された。米誌ニューズウィークが報じた。

 同誌によると、動画は英BBCのフランシス・スカー記者がツイッターで公開したもの。その中でカディロフ氏は「ウクライナの問題はもう終わった」と発言。次の目標はポーランドだとし、「ウクライナの後、指令が下れば、たった6秒で対応できることを示して見せる」と主張した。

 チェチェンはロシアに属する共和国で、カディロフ氏の私兵団「カディロフツィ」は同氏による独裁政権を維持するための残虐組織として知られ、ウクライナ侵攻では最前線に投入されたと報じられている。

 一方、ポーランドは2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、ウクライナに対して軍事支援を行っているが、今回のカディロフ氏の発言は、ポーランド政府内で懸念されるロシアによる同国への侵攻の可能性を裏付けるものだと同誌は指摘している。

 プーチン露大統領はポーランドへの侵攻の可能性について言及していないが、ポーランドのヤブロンスキー外務審議官は3月下旬、カタールのニュース専門局アルジャジーラとのインタビューで、プーチン氏がポーランドへの攻撃を考えているのは「絶対的に確実」だと言い切った。

 ただ、ヤブロンスキー氏は、「その一方で、今はウクライナでの状況に手がいっぱいで、できないことも確実だとわれわれは見ている」と語った。

 ニューズウィーク誌によると、スカー記者が公開した動画は25日夜時点で2万5000回視聴されている。

 また、動画でカディロフ氏はポーランドに、「われわれの大使に行ったことに正式な許しを乞え」とも発言。これは今月9日、ロシアの戦勝記念日に、在ポーランド・アンドレエフ露大使がロシアに抗議する民衆により赤い塗料を顔に投げつけられたことを指していると同誌は指摘。

 カディロフ氏は「これに黙ってはいられない」とし、「覚えておけ」とポーランドを威嚇してみせた。

 同誌は、この動画がいつ撮影されたものか、場所がどこかは不明としている。