新型コロナウイルスワクチンの4回目接種が25日、各地で始まった。高齢者や基礎疾患があるなど、重症化リスクの高い人が対象となっている。一方、ゴールデンウイーク明けに来ると見られていた第7波は今のところ気配なし。このままコロナは終息に向かっていくのか!? 第7波の到来を予想していた専門家の見解を聞いた。

 4回目のワクチン接種が、60歳以上の高齢者と18歳以上の重症化リスクなどを抱える人を対象にスタートした。現在、3回目接種を済ませた全国民の割合は58・1%(首相官邸ホームページ)。岸田文雄首相自らもCM出演し、政府は3回接種を呼びかけているが、4回目については接種対象者を絞った。

 これについて医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「ここまでの流れを見ると、重症化リスクの高い人に限定して4回目接種するのは妥当なところ」と評価する。

 そんな中、4月にはオミクロン株の亜種BA・2やXEなど、感染力が高いとされるものが次々に出現したことで、多くの専門家の間で、人出が増えるGW明けに第7波が来ると予想されていた。ところがふたを開けると、ここまで再拡大の気配なし。全国の感染者数は連休前の水準か、それ以下となり、死者数も減少傾向だ。

 多くの専門家と同じく連休明けの第7波を予想していた古本氏だが、現在の状況をどう見ているのか?
「一連の感染対策が、オミクロン株の感染力を上回る抑止効果を得られるレベルまで上がったということでしょう。一方で、今も次々にウイルスが変異して新しい亜種が生まれている状況。ウイルスが活性の高い状態を維持しているとみられ、いつまた現在の感染抑止効果を上回る危険なウイルスに変異してもおかしくないことを意味する。このまま終息に向かうという見方は時期尚早です」

 古本氏によれば、新型コロナウイルスが人へ悪影響を与える状態から、ほとんど無視できる状態になることも十分可能だという。ただし、その場合は全世界的に感染者数が減り始める予兆が現れるというが、現状は北朝鮮や中国など感染者が増えている地域がまだまだ存在する状況だ。

 さらに6月から空港での水際対策を一気に緩和し、外国人観光客の受け入れも始まる。日本人旅行者の帰国時の待機措置についても、渡航先の国と地域をウイルス流入リスクに応じて3つに分類し、最もリスクの低いグループでは入国時検査と待機措置を免除。これまでほぼ国内に限定されていた人の動きが、一気に世界中へと拡大する。

「リスクが低い国や地域といっても、流入リスクは完全なゼロにはならない。国内が落ち着いていても世界のどこかで感染拡大していれば、必ず波となって国内の感染状況も悪化します。全世界的な終息まではまだまだ時間がかかる。今後も重症化リスクの高い人たちは、5回目、6回目とワクチンの追加接種で乗り切っていくことになるでしょう」(古本氏)

 脅威は過ぎ去りつつあるかに見えるが、まだまだコロナとの戦いは続きそうだ。