日本列島は12日、各地で最高気温が35度以上となる猛暑日を記録し、熱中症とみられる症状で北海道と埼玉県の女性2人が死亡し、病院に運ばれる人も相次いだ。

 総務省消防庁によると6月1日から7月5日までの全国の熱中症による救急搬送人員数は3161人(速報値)だった。今年の6月は全国的に雨が多く、昨年に比べると搬送人数は減少しているが、梅雨が明け、本格的な夏を迎えると人数は跳ね上がることが予想される。

 水の安全性や選び方、活用方法を考え直すことを目的とする「水を考えるプロジェクト」が800人を対象に行った「熱中症に関する意識実態調査」の結果では「熱中症になったことはあるか?」に23%が「ある」とした。

 一方、別の問いで、52・2%の人が「暑い時期にめまい・失神・立ちくらみを自覚したことがある」と答えている。これらは熱中症の軽い症状で、多くの人が“隠れ熱中症”の可能性大ということだ。

 医学博士で管理栄養士の井上正子氏は「隠れ熱中症は自分で気づいたときには重症化していることが多いので、普段からの予防対策が重要です。まずは水分補給をこまめに行いましょう。たとえ自覚がなくても、不感蒸泄として呼気や皮膚から水分は失われています。また、喉が渇いたと感じたら、既に脱水気味になっていることが多いので、喉が渇く前から水分補給をした方がよいでしょう」と語る。

「環境省熱中症環境保健マニュアル」の熱中症予防策では、1日に飲料として摂取すべき水分量は1・2リットルが目安。しかし、前出の「水を考える――」の調べでは1・2リットルに達している人は2割以下だった。

 汗とともに体内から失われるのがナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルや、代謝に不可欠な水溶性ビタミンのB群やCだ。

「これらは内臓や筋肉など体全体の機能を正常に保つ働きがあり、不足するとめまいや立ちくらみなどの発症につながります。水分に加えてミネラルやビタミンの補給もしっかりすることが大切です」(井上氏)という。