危険ドラッグを販売したとして、警視庁と厚生労働省関東甲信越厚生局麻薬取締部は10日までに、医薬品医療機器法違反の疑いで、東京・歌舞伎町の2店舗を摘発し、経営者の男ら3人を逮捕した。同庁によると、国内の危険ドラッグ販売店舗はゼロになったという。


 昨年4月に指定薬物の所持等を禁止する法改正が施行され、同8月以降には徹底的な立ち入り検査などが実施されると、昨年3月に215あった店舗は昨年12月に5店舗まで減少していた。一方で摘発逃れのためインターネットやデリバリーで販売する業者は増えており、警察当局などが取り締まりを強化している。


 薬物事情通は「危険ドラッグは薬物のライトユーザーが手を出すもので、欲しい時にすぐ入手できて、すぐに吸えるというのが利点。だから店舗型を壊滅すれば、かなり流通を減らせる。店舗型があったせいで、買ったらすぐに車内で吸ってキマったまま運転し、通行人をはねる悲惨な事故が起きていたが、店舗型がなくなれば、事故も減る。わざわざネットで薬物を取り寄せるようなハードユーザーは危険ドラッグよりシャブやマリフアナを購入する傾向にある」と指摘する。


 ネットで地下化する可能性があるとはいえ、よく店舗を壊滅できたものだ。「危険ドラッグは暴力団が商売にしておらず、半グレや素人が売っていた。半グレは金儲け優先だから、捕まるリスクが高い」(同)


 なぜ暴力団が危険ドラッグを扱わなかったのか?「暴力団が薬物を扱う場合、顧客との信頼が重要で、細く長く商売にする。シャブなどをテイスティング専門のヤツが体験したうえで、『今回は上物です』『混ぜ物です』など、値段を変えて売る。吸ったら死ぬかもしれないから自分で体験できない危険ドラッグなんて売らない」(同)


 確かに暴力団が危険ドラッグ販売店を持っていたとしたら、たった1年弱での壊滅も難しかっただろう。