学校法人「森友学園」の補助金受給詐欺事件で実刑判決を受けた理事長の籠池泰典被告(69)と妻の諄子被告(65)が16日、京都市内で会見を開催。上告理由を説明し、無罪を主張した。

 大阪高裁による懲役5年の実刑判決を受けた泰典被告は、一審で執行猶予がついていたのに二審で実刑判決とされた諄子被告について「一審で一つひとつ積み上げて無罪だったのに、二審ではそれをスルー、チャラにして、私と家内とを共同経営者ということでくくって有罪にした」と高裁の判断を批判。「すべての罪をなすりつけて幕引きを図ろうとしている」と語気を強めた。

 一方、諄子被告は、小学校建設に携わったキアラ設計との打ち合わせの際に発した「ぼったくる」の発言を、検察が改ざんしていると改めて主張。「大きく改ざんしているのに認めていただけなかったのは残念」と検察と裁判所を批判した。

 弁護人の南出喜久治弁護士は、籠池被告らに詐欺の意図などなく「森友学園はとんでもない被害者だ」と無罪を主張。最高裁は憲法や判例違反を判断するため、“門前払い”も少なくないが、「これから提出する上告趣意書で憲法違反、判例違反を主張していく」と話した。

 籠池被告の言い分は認められるのか。事情通は上告について「言いたいことは分かるが、さすがに府・市の補助金に関して無罪は厳しいのでは」とした上で、「上告して真相を問い続ける意味はあるのでは」と指摘する。

「この事件は結局、どこに問題があったのかあいまいなまま。政権とのつながりが注目されるが、なぜか不起訴になっている人も多い。大阪では、IR予定地でも土壌汚染が見つかり、行政がおかしな対応をしているが、いわくつきの土地に民間が関わって、怪しげなことをしている案件は全国的にみられる。籠池さんがどうなるにせよ最終的に誰が得をしているのか、しっかり見極める必要がある」

 どう転んでも一件落着とはいかないようだ。