ウクライナ・キーウ出身の元男子プロテニス選手のセルジー・スタホフスキー氏(36)が同国軍に入隊してからの日々を英公共放送局「BBC」に明かした。

 ハンガリー・ブダペストで暮らしていたスタホフスキー氏は、ロシアが母国に侵攻する様子を見て「両親がどこにいて、何をしていて、どれだけひどい状況なのかを理解しようとした」。妻は入隊することに反対したというが「母国で起こっていることを無視できないと思った」と覚悟を決め、子供たちに内緒でこっそり抜け出した。

 入隊後はキーウに駐留し「私たちはみんな基本的にカラシニコフ(歩兵用自動小銃)を横に置いて寝ています」と常に戦闘体制をとってきたが、キーウ郊外のブチャで悲惨な現実を目の当たりにしてきた。「世界は起こったことのほんの一部しか映していない。彼らのやったこと、やり方は正直言って非人間的だ。私には何のためらいもない。もしロシア兵を見かけたら、どうするかは分かっている」と語気を強めた。

 現在も状況は改善されていないものの、先日にはブダペストを訪れ、子供たちにウクライナでの様子を包み隠さず説明し、再び戦地に足を踏み入れた。「私は3人の子供と愛する妻を残し、私の国を守るため、私の家族を守るために入隊しましたが、私がしたことについては全く素晴らしくありません」。ロシアのウクライナ侵攻によって生まれた悲劇。果たしていつになったら平和が戻ってくるのだろうか…。