自動車戦争の標的になったトヨタ 米国から“タレコミ”

2015年07月09日 10時00分

 麻薬成分を含む薬物オキシコドンを国際宅配便で輸入したとして、麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕されたトヨタ自動車前常務役員のジュリー・ハンプ容疑者(55)に対し、東京地検は7日、勾留期限の8日に起訴猶予とし、釈放する方針を固めた。トヨタを襲った不祥事の裏には、やはり“自動車戦争”の影が…。

 ハンプ容疑者は、6月18日に米ミシガン州から滞在する都内のホテル宛てにネックレスと書かれた箱に詰めた麻薬成分を含むオキシコドン57錠を輸入しようとした容疑で逮捕された。同30日付で常務を辞任した。

 同容疑者は「ヒザの痛みを和らげるため、父親から送ってもらった」と麻薬とは知らなかったといい、同地検はトヨタ役員を辞任したことで、社会的制裁を受けたとして起訴猶予とする方針だ。

 オキシコドンは米当局から通報を受けた東京税関が6月11日に成田空港で発見していた。米事情に詳しい関係者は「トヨタと敵対する米自動車業界からのタレコミがあったと聞きます。トヨタの役員になる前から彼女がオキシコドンに溺れているとの情報があり、役員就任と同時にトヨタを陥れるトラップに引っかかったと言える。16日のトヨタの株主総会直前に逮捕されていたら大混乱になったでしょう」と指摘する。

 ハンプ容疑者は華々しい経歴に傷がついたようにも見えるが、今回の起訴猶予では国外退去処分にもならない。米国に帰国すれば、また高給で各企業から迎え入れられることが確実だというのだ。

「米国でオキシコドンは通常の痛み止めで使用されており、今回は日本の法律が厳しかったという認識。GM、ペプシ・コーラ、北米トヨタでそれぞれ副社長の要職を務めた彼女のキャリアなら、再就職に困ることはない」(同)

 結局、企業のイメージダウンを招いたのはトヨタ自動車本体だ。「世界のトヨタ」をアピールするために米国から迎え入れた初の女性役員がわずか3か月で失脚し、非難にさらされた。プライバシーまで調べ上げなかった代償はあまりに高くついたともいえる。