MERS院内感染拡大の一因に「ドクターショッピング」の風習

2015年06月28日 10時00分

 韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに感染し24日に死亡した女性(70)が、症状が出ていたのに感染の可能性を伝えず複数の病院で診断を受け、約2100人と接触していたことが25日分かった。

 韓国保健福祉省は25日、この女性を含む男女2人が24日に死亡し、感染者の死者が29人になったと明らかにした。感染確認者も1人増え180人になった。

 女性は持病がなくMERSが重症化し死亡。コロナウイルスが活性化した状態で少なくとも8日間、隔離されず行動しており、保健福祉省は女性が「スーパー・スプレッダー」(感染力が非常に強い患者)だった恐れがあるとみている。女性は4つの病院や4つの薬局などを訪問していた。

 もともとMERSはヒト→ヒト感染しにくいが、韓国独特の風習で広がったとされる。韓国事情通は「親族が病室に寝泊まりします。トイレの後、手を洗わない人も多い。また韓国では医者の地位が低いので、患者が複数の医者を渡り歩くドクターショッピングが一般的で、院内感染を増やす一因となったようです」と指摘する。

 なぜ病院を渡り歩くのか。「韓国呪術と反日」などの著作がある文筆人の但馬オサム氏はこう語る。

「驚くことに李朝時代の身分制度では、医者は賤業でした。医師を蔑視していたのです。むろん病気にかかって医師に診てもらえるのは両班などの上位階級者のみで、庶民はもっぱら巫女(みこ=シャーマン)の加持祈祷や怪しげな民間療法に頼るしかありませんでした」

 たとえば、地面に人の形を描いて刃物を刺してマラリア退散を祈るとか、玄関に牛の頭部とニンニクをつるしてチフスよけにするといった、呪術性の強いものだ。

「医療代の高い韓国では医者にかかるより、民間療法やせいぜい市販薬での生療治で済ますという人も多いようです」と但馬氏。

 民間療法を試しながらも、カネがある人は医者を取っ換え引っ換え。抵抗力の低い人が多い病院でMERSを広める。感染力が低いから、この程度で済んでいるのかもしれない。