ER(救急救命室)のトンデモ患者の実態

2015年06月20日 10時00分

【白衣の天使が明かす病院の真実「現役ナース座談会」】ベテラン2人による「現役ナース座談会」。今回はER(救急救命室)に運ばれてくるトンデモ患者の実態を大公開してもらおう。みなさんも救急車を呼ぶのは本当に必要なときだけにしてくださいね。

 ――ERナースというお仕事は緊張の連続なのでは

 ユキコ:うーん、そうかもしれないけど慣れてしまえばフツーですよ。

 ナツキ:ぶっちゃけ1日にどれくらい救急車来るの?

 ユキコ:日勤で10件くらいかな。救急車は夜のほうが多くて夜勤で20件くらいだから、1日平均30件ってとこだと思う。

 ――お2人が勤めてる大学病院は3次救急(一刻を争う重篤な救急患者に対応する病院)に指定されているから、仕事が大変そう…

 ユキコ:確かにそうなんですけど、私の病院は2次までの患者さんと3次の患者さんを診るのが別々になっていて、私は前者の担当なので、テレビドラマほどじゃない(笑い)。

 ナツキ:でも、変な急患は運ばれてくるでしょ。私の友達は「コンタクトレンズが外れない!」って救急車で来た患者にキレてたよ(笑い)。

 ユキコ:いやいや、もっとひどい話あるよ! 20歳くらいの若い女の子なんだけど、「便秘で腹痛がすごいんです」って運ばれてきたの。で、本人は便秘って言うんだけど、誰がどう見てもその子は妊娠してて、その痛みは陣痛なわけ。なんで気づかないんだろうなぁって思ったけど、本人はとにかく妊娠したことを認めたくなかったみたい…。

 ナツキ:きっと誰とヤッたか分からなくて、その子のお父さんは不明なんだろうねー。で、どうなった?

 ユキコ:1時間後に無事に出産したよ。あとはね、うつ病の女性が腹にナイフを刺したまま運ばれてきたこともあった。

 ――これまたドラマか映画みたいな状態ですね

 ユキコ:うん。どうするかっていうと、急にナイフを抜いて大きい動脈とかから出血しちゃうと大変だから、刺さったすぐ横を開腹して、先生が動脈が傷ついてないか目視して確認。それから、ブスッと引き抜く。で、その救急医の先生が「人間、そう簡単には死なないんだよ」って真顔で教えてた。

 ナツキ:いいこと言うね。うちではずいぶん前、酔っぱらって2階から飛び降りた人が救急で運ばれてきたことがあって、変なあだ名がついた。

 ユキコ:どんな?

 ナツキ:骨折とかで整形の病棟に入院したんだけどさ、ナースから「窪塚」って呼ばれてた(注・俳優の窪塚洋介は2004年、マンションの9階から飛び降りて骨折などの大ケガを負った)。

 ユキコ:でも、酔っぱらいは本当に面倒くさいよね。暴れたりすると救急隊の人も大変だし、私たちも措置どころじゃなくなる。でもまぁ、ERって処置が済んだら患者さんが病棟に移るから、深くかかわらなくていいし。

 ――逆に入院期間が長いケースはありますか? 入院しても3か月で退院させられるという話を聞いたことがあるのですが…

 ユキコ:3か月過ぎると入院の保険点数が下がって、病院としては高齢者を受け入れ続ける余裕がないからだと思う。

 ナツキ:血液内科の病棟は長く入院する人いますよ。白血病の患者さんとか、クリーンルームにいないとダメだからさ。あ、そういえばセカチュー覚えてる?

 ――小説家・片山恭一の大ベストセラーで、映画やドラマにもなりましたよね

 ナツキ:そうそう。で、あの話だと女の子が白血病になって死んじゃうでしょ。私、ちょうどそのころ、血液内科の病棟で働いてて、同じようなカップルをリアルに見てたの。

 ユキコ:ほんとに!?

 ナツキ:白血病になったのは高校生の男の子なんだけどね、彼女が夏休み、自転車で毎日お見舞いに来てて、彼氏の精子保存までしたんだよ。骨髄移植手術もしたんだけど、なかなか良くならなくて、ずっとクリーンルームにいたんだけど、ある日、彼氏のほうが長期入院に耐えられなくなって病院を出ちゃったの。

 ユキコ:えー! 先生もナースも激オコ(怒)でしょ。

 ナツキ:もちろん。良くなるためにやってきたことが全部、水の泡だからね。で、やっぱり免疫弱くなってるからそれからしばらくして死んじゃった。だから私、悲しくて悲しくて、セカチューで全然泣けなかったもん。

 ――重い病気やつらい状況に絶望してしまうのも分かりますが…

 ナツキ:「なぜこの人がこの病気にならなきゃいけなかったんだろう…」ってナースも考えてしまうことがありますよ。でも、良くなるためにはやっぱり本人の気持ちが大切だと思います。

 ユキコ:同感です。前向きに考えられる患者さんはこっちも応援したくなるんですよね。

☆ナツキ=オペ室勤務が好きで、病棟ナースに異動させられるたびに転職を繰り返してきた異色のナース。体の中を見るのが好き。中谷美紀似。
☆ユキコ=大学付属の看護学校を卒業後、ずっと大学病院で働く生え抜き。ER勤務が7年目となり、どんな急患が来ても動じることがない。テレビ朝日の武内絵美アナ似。