警視庁多摩中央署は15日までに、書店で書籍を万引きしたとして窃盗容疑で、川崎市の大学生(23)を逮捕した。

 同署によると容疑者は、昨年5月からインターネットオークションに本など約1700点を出品、約400万円の売り上げがあったとみられる。同署は万引きした商品を出した可能性もあるとみて調べている。

 逮捕容疑は3月19日夜、東京・稲城の書店で、語学書など10点(計2万5920円)を万引きした疑い。「自分で読むためや転売するために盗んだ」と容疑を認めている。防犯カメラの映像から容疑者が浮上した。

 昔から小売店での万引き被害は後を絶たないが、近年はネット転売を目的とした万引きも増加している。

「発行部数が少なく、値段が高価な専門書や参考書、楽譜などはネットオークションでも人気が高い。特に医学系はもとの値段が高いので、安く手に入るネットオークションではすぐ売れる。そうした商品の出品者には、全くジャンルの違う新品の参考書を何冊も出品するなど、明らかに正規のルートで入手していないものを出す者もいる」(通信業界関係者)

 やはり、街の古書店などでは簡単に入手できない本が人気を集めやすいという。

 書店としても、購入者の少ない専門書などはどうしても奥へ配置することになり、死角も生まれやすい。結果的によりターゲットになりやすくなってしまう。

「ネット転売目的の者としてもリスクを負う以上、比較的盗みやすくて高いものを選ぶ。もちろん業者の横流しで出品するパターンもあるが、最近では個人がホームセンターで盗んだと思われる特殊工具やプリンターのインクカートリッジがオークションに出回ることも増えている」(同)

 ただでさえ、ネット販売に押され気味の中、小売店が万引き行為で受けるダメージはあまりに大きい。