手こぎボートで太平洋横断中にSOS 無謀チャレンジへの風当たり

2015年06月17日 10時00分

 女性初となる手こぎボートでの太平洋横断を目指しながらも途中で断念し、救助された米冒険家のソーニャ・バウムスタインさん(30)が15日、福島海上保安部の巡視船で小名浜港に到着した。

 バウムスタインさんは7日に千葉・銚子港から全長7メートルの手こぎボートで出港。米サンフランシスコまで単独無寄港を目指したが、13日午後に福島・いわきから約250キロ沖合の海上で「荒天が予想され、心配なので助けてほしい」とSOSを発信し救助された。

 手こぎボートでの太平洋横断は過去に男性2人しか成功しておらず、女性では初の快挙となるところだった。今回のプロジェクトを支援するホームページでは、ドローグと呼ばれる転覆防止の装置の故障と荒天を中止の理由に挙げている。

 一方で、SOSを出した時点と後にも、海上は荒れていなかったとみられる。バウムスタインさんと船はともに無傷だった。海洋事情にも詳しい軍事評論家の神浦元彰氏は「彼女は黒潮を乗り切ることができなかったのでは。激しい勢いに流され、北の方向に持っていかれると怖くなったのではないか」と推測する。

 冒険家を自称するバウムスタインさんは、過去にメキシコから米シアトルまでの自転車縦断、シアトルからアラスカまでのシーカヤック縦断などがあるが、今回の9600キロ、約半年にも及ぶビッグチャレンジは初とみられる。

 1日16時間こぐのを想定し、約20キロ増量したというバウムスタインさんには、出港前から「太り過ぎ」「ダイエットのために冒険するのか」などと非難された。神浦氏は「短時間に物すごくこぐカヌーならともかく、太平洋をこぎきるくらいの体力をつけるのに脂肪をつけるのは非科学的」と指摘する。

 2年前には全盲者とのペアでヨットでの太平洋横断を目指したニュースキャスターの辛坊治郎氏(59)が宮城沖合で浸水し、救助された。

「話題になることをすればスポンサーもつくため、無謀なチャレンジは後を絶たない」(神浦氏)

 海保によるバウムスタインさんの救助は、救急車と同じで費用は一切かかることはない。