【韓国MERS】デマも拡散!ネットにトンデモ療法

2015年06月13日 10時00分

 中東呼吸器症候群「MERS」コロナウイルスの感染が広がる韓国。妊婦やソウルから300キロ離れた全羅南道(チョルラナムド)に住む男性への感染も確認されるなど、拡大が続く。釜山市ではMERS対策本部に所属する男性の幹部職員が「家族に申し訳ない」との遺書を残し自殺した。一方、予防に「キムチが効く」という怪情報が拡散されるなど、混乱は収まる気配がない。

 中国人や警察官への感染も新たに確認され、今月出産予定の39歳の妊婦まで。ソウル市内の病院で診察を受け、300キロ離れた全羅南道の自宅に帰った男性(64)への感染も新たに判明した。この男性は感染後も結婚式などに出席。700人以上と接触した可能性があるという。

 そんななか、釜山市内の登山路近くで10日午後、釜山市健康体育局長A氏が首をつって亡くなっているのが発見された。現場には、A氏が残した「家族に申し訳ない」と書かれたメモがあった。

 A氏は疾病担当部署ではないが、6日に釜山でMERS患者が出たため対策本部に“異動”。その直後の自殺にネット上では「もはや手遅れということか…」と悲観的な書き込みもみられる。地元の警察は「まだ事実関係が明確でない。ただ、私生活や金銭的な問題はないように見える」と原因について話す。

 MERSコロナウイルスをめぐっては、たんに含まれるウイルスの有無を調べる検査の結果がたびたび覆り混乱が起きている。

 10日に感染が確認された警察官の男性(35)は5月末に発熱などの症状があり検査で陽性となったため隔離されたが、再検査で陰性となり退院した。しかし肺炎のような症状が続き、翌日に別の病院に再入院し再び陽性の結果が出て感染が確定した。

 韓国保健福祉省当局者によると、感染していても、たんの状態によってはウイルスを見つけるのが難しい場合があり、感染が疑われる人に対しては繰り返したんを取り検査を続ける。しかし、陰性と判断され隔離を一時解かれた人が再検査で感染が確認された事例も発生。隔離が解かれていた時間に接触した人に感染させた恐れもある。

 一方で、デマも横行している。韓国国内でMERSの“予防薬”として国民食のキムチがバカ売れしているのだ。ネット上で流布されたもので、根拠となっているのは2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)流行の際、韓国では感染者がゼロだったこと。これに当時の韓国人は「キムチのおかげだ!」と胸を張っていた。

 このほか、ネット上ではワセリンを鼻に塗りたくるワセリン療法やタマネギ、初乳、シナモンの粉が挙げられている。

 だが、これらは明らかなガセ情報だ。専門家は「キムチなどに含まれる成分に予防効果があるかどうかは立証されていない。それよりも手洗いやマスクの着用を励行してほしい」。ワセリン療法に至っては「肺炎を引き起こす可能性がある」とむしろ危険視している。

 そんななか、韓国人がほかの人種に比べ、MERSに脆弱である可能性が浮上している。米国の科学誌「サイエンス」で、世界保健機関でMERSを担当するピーター・ベン・エムバレク博士は、中東など他の発生地でも同じ環境だったのに、感染しなかった中国や中東諸国の人々は数百人もいるとしたうえで、こう指摘する。

「なぜ、韓国人の間だけで感染が広がるのか。(韓国の)最初の患者が異なる種類のウイルスに感染していたり、韓国人が他の国の人々に比べてウイルスにより敏感に反応するのかもしれない」

 同博士はこの可能性を探るには、ウイルスの塩基配列(核酸の構成要素の並び方)を詳細に調べることが急務であると指摘。韓国では「結局キムチはいいのか、悪いのか?」「もう何を信じれば…」と大パニックに陥っている。