大阪名物・串カツ店の退去騒動 あの味はもう食べられないのか

2015年06月12日 06時00分

立ち退き期限の10日、松葉はたくさんの客が詰め掛けた

 JR大阪駅前地下街にある老舗串カツ店「松葉」など5店舗に大阪市が立ち退きを求めている件で、市側の撤去命令の期限だった10日も同店などは営業を続けた。「最後かも…」と駆けつけた客で、立ち席のみの店内は満員。30人以上の行列ができるほどだった。松葉は11日以降も営業を続ける予定だが、市側は来週中にも強制代執行を行うことを示唆している。

 市は同駅前の地下道の拡張工事に伴い、昨年9月に事前に申し入れた上で地下道の約20店舗の占有許可を打ち切ったが、松葉を含む5店舗は立ち退かなかった。中でも松葉は1954年から市の道路占用許可を毎年更新しながら営業する有名店だった。

 珍しく話し合いでの解決を模索していた大阪市の橋下徹市長(45)は市役所内で取材に応じ、交渉が決裂に終わったことについて「残念ですね。公益のために必要な場合は許可を出せないというのは行政の仕組みの中での大原則ですから」と立ち退きへの理解を求めた。

 賃貸借契約ではなく、道路使用許可という契約だったため「梅田の1等地としては考えられない破格のお金で利用してもらっていた。ちょっとお店の方も自己主張が強すぎるんじゃないかと思ってます」と松葉などの店舗の対応をチクリとしていた。

 また、橋下氏は意外な事実も口にした。松葉の来店経験を問われると「何店舗か行ったことあります。問題になってるところは行ったことないんですけど(大阪府)知事になる前に何度か」と明かした。

 実は松葉は複数の店舗を持つため、駅前地下街の店が姿を消す日は近そうだが“松葉ロス”の心配はなさそう。問題になっている店から徒歩約3分の場所にもあり、3月4日に開業したJR新大阪駅構内の商業施設「エキマルシェ新大阪」にも店をオープンさせたばかり。同店関係者は「味は同じ」としており、騒動後も松葉自体は存続するという。

「伝統の味がなくなるのは寂しい」と話す客も多いが、松葉の味は残りそうだ。