国際政治学者で山猫総合研究所代表の三浦瑠麗氏が「めざまし8」(フジテレビ系)で29日、サッカーの英プレミアリーグ・チェルシーのロシア人オーナー、ロマン・アブラモビッチ氏の毒殺未遂について言及した。

 番組では米紙「ウォールストリート・ジャーナル」報じた内容を紹介。ロシアの大富豪であるアブラモビッチが今月上旬、ウクライナの首都キエフで行われた和平交渉会議に出席した際、同氏とウクライナ側の担当者の2人が中毒症状を発症したという。

 2人は目の充血や顔・手の皮膚のはく離などの症状に見舞われたが、その後、容体は回復し、命に別条はないという。同紙は、これまでアブラモビッチ氏は停戦に向けた会合を重ねており、交渉を妨害するロシアの強硬派による攻撃の可能性が高いとして非難している。

 これに三浦氏は「殺すのに十分な量ではなかったという専門家の話が『ウォールストリート・ジャーナル』の報道でも載っているんですけど、ロイター通信の続報によると、ウクライナ側は2人の高官が明確に『関知していない。陰謀論がこういう時にはたくさん出てくる』というコメントを出したりして、何がなんだかまだよくわからない状況。ウクライナ政府としては自分たちの側ではない、タタール民族系の交渉参加者が症状を呈しているらしいので、身近に接している相手でないかもしれないし、誰が何の目的で本当にそういったことをしたのかも現時点ではわからない」と分析した。

 番組に出演した筑波大学の中村逸郎教授は「ロシアの強硬派が関与している可能性が濃いかなとは思います。アブラモビッチさんは富豪で、今回のウクライナ侵攻に伴う経済制裁で彼は非常に困るわけです。キエフに行って交渉後、目が真っ赤に充血して手と顔の皮膚がめくれ上がったという話。仮に毒が使われていたとすれば、ロシアで毒殺未遂があった時と同じような症状なんです。推測になりますが、ロシア軍の中の強硬派による犯行が疑われるというところだと思う」と見解を語った。