安保法案強行の裏に「TPP」

2015年06月06日 18時00分

 衆院憲法審査会で3人の参考人全員が4日、集団的自衛権行使を可能とする安全保障関連法案を「憲法違反」と断じ、安倍政権に衝撃を与えた。憲法上の疑義や戦争に巻き込まれる懸念など法案への国民の不安は根強く、安倍晋三首相(60)が成立を目指す夏までに一定の理解を得られるか見通せない状況だ。

 安倍首相は安保法案の成立を急いでいる。強硬な態度には野党のみならず一部与党からも批判が出ているが、安倍政権は無視して突っ走る覚悟のようだ。政界とのつながりが深いある財界関係者はこう話す。

「安保法案を強行するのはTPP(環太平洋連携協定)成立の隠れみのにするためですよ。最終局面を迎えたTPPですが、最後の最後で米国が日本にコメを含む農産物の規制緩和を求め、日本が米国に自動車の規制緩和を求めている状況です。最終的には譲歩し合うことで大筋合意になりそうですが、そうなると農家からの批判は必至。それを打ち消すために、今回の安保法案に目先を向けさせている」

 TPPの大筋合意は、米国で大統領に通商交渉の権限を一任するTPA法案の成立が不可欠だった。それが5月22日の米国上院議会で成立。残すはコメを含む農産物と自動車の交渉がまとまれば、すぐにでも大筋合意できそう。だからこそ、目先をそらす話題が必要だったというわけだ。

 話はこれだけでは終わらない。TPP成立の先には、別の壮大な計画があると前出の関係者は指摘する。

「TPPは近い将来、アジア版NATOになると言われています。すでに米国の議員や元高官も言及している。そうなると日本は参加せざるを得ない。だとすれば安保法案成立よりもTPP成立の方が比重は大きい」

 NATOは第2次世界大戦後の欧州において、東側諸国の脅威と対峙するために作られた多国間軍事同盟。TPPがアジア版NATOになるならば中国の脅威を想定していることは間違いなく、そうなれば中国がTPPに参加しないことも合点がいく。拙速ともいえる今国会での安保法案の審議入り。本当に成立するのか、それともその先を見据えているのか――。