「新宿セントラルクリニック」による“性病詐欺”で、2人目の“被害者”の損害賠償請求訴訟の口頭弁論が28日、東京地裁で行われた。

 性病でもない患者に対し、性病と偽った診断を下し、高額な医療費をせしめたとされる。男性A氏が200万円の損害賠償を提起し、今年3月、地裁は「院長が故意に虚偽の診断をした」として、25万円の支払いを命じた(控訴中)。

 男性B氏も「医療問題弁護団新宿セントラルクリニック対策班」の支援で提訴した。B氏は3年前、ある女性との真剣交際を考え、性病の症状はなかったが、念のために性病検査を受けた。血液検査の結果、クリニックはクラミジアと診断し、大量の薬を処方。しかし、検査機関による検査結果はB氏に示さず、医師が作った診断書を示しただけだった。

 法廷でB氏は「1か月以上、指示通りに薬を飲んだのに治らないので不審に思った。クリニックで作成された検査結果報告書は、検査会社が作った紙ではなかったのでおかしいと思った。セカンドオピニオンとして別の病院で調べてもらったら、クラミジアではなかった。『カットオフ詐欺じゃないですか』と言われた」と証言した。

 カットオフ値とは国が定めた陽性、陰性を分ける値。クラミジアの値は0・90で、それより上の値が出ると陽性となる。検査機関の検査結果報告書には0・90以下は陰性と説明があるが、B氏の2回の検査結果は0・86、0・46だった。

 しかし、同クリニックが作成した診断書ではカットオフ値は0・00だった。B氏は「医者が基準値を0・00と言うのだから、間違いないと思った。でも後で本当は0・90が基準値だと知った。医者が健康な人に性病だとうそをついた」と語る。

 一方、同クリニック院長は「医者は専権事項として診断できる。検査結果と問診を含め、総合的に判断してクラミジアと診断した。0・90というカットオフ値が間違っている。私の基準値は0・00。数千人に診断を下してきた」としている。

 7月には3人目の“被害者”C氏の裁判も始まるという。