昨年度に外国人旅行者が日本で使ったお金が、日本人が海外で使ったお金を55年ぶりに上回ったと話題になったのは先日のことだった。旅行収支黒字のけん引役は、ブランド品をまとめて購入するなどの中国人観光客による「爆買い」だが、団体観光客がやりたい放題の迷惑行為を繰り返し、老舗の名店が存亡の危機に直面しているという。

 東京・銀座の飲食店関係者は「中国人観光客が団体で押し掛けて、ろくに食事も注文せずに居座る。死活問題に直面している飲食店は1軒や2軒じゃない」とこぼす。

 中国人観光客は、とにかく団体行動だ。

「昼ごろから夕方にかけて、中国人観光客を乗せた大型バスが止まり、降りて来た中国人がそのままたむろして、道をふさぐ光景は珍しくなくなった。免税店で大金を落とすのは歓迎ですが、飲食店でのマナーの悪さは何とかしてほしい。このままだと、潰れかねない店が少なくないというんです」(同)
 つい先日も、ある老舗天ぷら店に40人余りの中国人観光客が団体で入って行った。

「40人前後いて、注文したのは天丼10人分。食べない者はサービスのお茶をお代わりし続け、大声でしゃべりながら延々と居続けた。その間は、なじみの日本人客は店内に入れない。こうなるともう店の死活問題でしょうね」(常連客)

 銀座に飲食店を構える人が、その日の食材を仕入れる“プロ御用達”の安売り食材店では、100人近くの中国人団体観光客が行列を作ったことがあった。

「ペットボトルを全員が1本ずつ買うために並んだもんだから大行列。おかげで、食材や氷などを買おうにも列が進まず、店のオープン時間が押してしまった。同じ目に遭った人たちは大勢いましたよ」(あるスナック店主)

 今どきは「中国人観光客が入った店は、閑古鳥が鳴く」とまで言われるようになったという。