理不尽かつ身勝手なあおり運転が後を絶たない。

 神奈川県大井町の東名高速道路で2017年、あおり運転で一家4人のワゴン車を停車させ、大型トラックによる追突で死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた石橋和歩被告(30)の差し戻し裁判員裁判の公判が14日、横浜地裁で開かれた。被告人質問が予定されていたが、地裁はこれまでの公判手続きに誤りがあったとして延期した。

 11日には職業不詳・尾崎博典容疑者(51)が大阪府堺市の路上で、車で進路をふさぐなどして同市西区の男子大学生(21)の乗用車を停車させ、大学生と同乗の別の男子大学生(21=同区)を棒のようなもので暴行し、現金1万5000円と車の鍵を奪ったとして、強盗致傷の疑いで逮捕された。

 あおり運転は近年、死傷事故が発生するなど社会問題化し、20年にはあおり運転を取り締まる「妨害運転罪」が創設された。交通関係に詳しい弁護士法人至道法律事務所の岡筋泰之弁護士は「違反1回で免許取り消し処分となり、最長5年懲役刑や罰金など厳しい罰則が科されます。今回はあおり運転に加え、強盗致傷罪にも該当する行為も行っているので、厳罰が見込まれます」と解説する。

 それでもこうした事件は相変わらずなくならない。11日に被害を受けた大学生らも「なぜ、あおられたか分からない」と話しており、理不尽なあおり運転がいつ、わが身に降りかかるか分からない。

「予防と問題発生時の正確な事実関係の立証のためにも、ますますドライブレコーダーの設置が重要になるでしょう。ドライブレコーダーがないと、あおり運転の立証が難しい場合もあり、その結果として、あおられた方が不利益を受けることもありますから」(同)。ドライブレコーダーは万能ではないが、自分の身は自分で守るしかない。