北朝鮮が合成疑惑のSLBM発射写真発表した狙い

2015年05月13日 16時00分

 北朝鮮が国営メディアを通じ、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射実験が「完全に成功した」と報じ、金正恩第1書記が、発射現場を参観する写真を公開した。軍事筋によると、今回実験で使われたSLBMは模擬弾で、水中から発射後に数百メートル飛んで海に落ちた。


 また、労働新聞などで公開された発射実験の写真は全部で5枚。SLBMの水中実験は正恩氏が見守る中、8日に潜水艦基地がある咸鏡南道新浦沖合の日本海上で行われたという。


 韓国国防省報道官は11日、北朝鮮が先週、水中発射型の弾道ミサイルを水中から打ち上げる実験を実施したとして、「非常に深刻で憂慮される」と語り、北朝鮮にSLBM開発を即刻中断するよう求めた。


 一方、北朝鮮が公開した5枚の写真を検証した韓国メディアは「SLBMは噴射する煙の量が少ないなど不自然な点があり、合成写真の可能性が十分にある」と“ヤラセ疑惑”を報じた。


 平壌情勢に詳しい関係者は「どの写真を見てもおかしい点がある。ミサイル発射実験は事故が多い。正恩氏の視察した地点が発射実験の位置と近すぎるのもおかしい。北朝鮮は過去にも軍事訓練を報じた写真などでも合成が指摘された。韓国メディアが『またか』と伝えるのは当然でしょう」と指摘する。


 ミサイルの速度と威力からして、正恩氏がこんな間近で悠長に指さしできるわけはなく、何らかの意図があって“いい写真”を合成し発表したのだろう。そして外交的に効果がありそうだ。


「日米韓は北朝鮮に経済的に圧力を加え、国際社会から孤立させる外交戦略を取った。その結果、北朝鮮に核とミサイル開発を進歩させるだけの時間を与えてしまった。やはり、この国を孤立させては危険ということなので、今後、外交戦略の見直しが進められる可能性がある」(同関係者)


 北朝鮮としては、日米韓に振り向いてもらい対話のテーブルについてもらえば、何らかの譲歩を引き出せると考えている。国際社会と北朝鮮の“核とミサイル”をめぐる攻防は、新たな局面を迎えている。