埼玉県ふじみ野市の住宅で起きた立てこもり事件は28日午前8時前、発生から11時間で県警捜査員が男の身柄を確保し、殺人未遂の疑いで逮捕した。男は人質を取って立てこもったまま膠着(こうちゃく)状態が続いていた。県警によると、男は60代の住人とみられる。

 捜査員は現場に突入して身柄を確保。人質となっていた男性医師(44)は心肺停止状態で見つかった。身柄確保前に捜査員が電話でかわした会話では、男は人質について「大丈夫だ」と説明していたという。

 27日午後9時ごろ、男はふじみ野市大井武蔵野の住宅で猟銃のようなものを持って立てこもり、現場から2人が病院に搬送された。うち1人は理学療法士の41歳男性で胸のあたりを撃たれたとみられ、手術を受けたが容体は不明という。もう1人は顔に催涙スプレーのようなものをかけられたが、意識はあるという。

 発生当時、近くに住む男性が「バンバンという音がした」と110番。市の消防によると、「2人が銃で撃たれた。私は逃げている」との119番があった。

 人質や負傷者らの3人はいずれも医療関係者で、弔問のために訪れて事件に巻き込まれており、県警は何らかのトラブルがあったとみて経緯を調べている。

 現場のすぐ近くにある市立西原小には事件後に周辺の住民が身を寄せ、さらに警察からの指示で安全確保のためにより離れた市立大井西中に移動し、約110人が避難したという。西原小など周辺の小中学校は28日の休校が決まった。

 事件はテレビ各局が28日朝も現場から中継。身柄確保は午前8時の少し前で、8時台の情報番組は多くが速報した。NHKは通常通り朝ドラ「カムカムエヴリバディ」を放送し、身柄確保はテロップで伝え、終了後に事件速報に切り替わった。